特定遊興飲食店営業
とくていゆうきょういんしょくてんえいぎょうSpecified Amusement Food and Drink Business
特定遊興飲食店営業は、風営法第2条第11項の営業です。深夜(午前0時から午前6時)に、客に遊興をさせ、酒類を出す飲食店が当たります。深夜・遊興・酒類提供の3つがそろうと、営業所ごとに都道府県公安委員会の許可が要ります。
特定遊興飲食店営業は、深夜に、客に遊興をさせて、酒類を出す飲食店の許可です。深夜・遊興・酒類提供の3つがそろったときに当たり、営業所ごとに都道府県公安委員会の許可が必要です。
- 根拠は、風営法第2条第11項と第31条の22です。無許可で営むと、2年以下の拘禁刑か200万円以下の罰金に処され、両方が科されることもあります(第50条第4号)。
- 3つのうち1つでも欠けると、特定遊興飲食店営業には当たりません。深夜に営まない店、深夜は酒類を出さない店、深夜は遊興をさせない店は、対象外です(警察庁の解釈運用基準)。
- 遊興は、営業者側の積極的な行為で客に遊び興じさせることです。録音された音楽を流すだけでは、当たりません。
- バーのように酒類を出す店(食事を主にする店は除く)が深夜に営業するだけなら、許可ではなく届出(第33条)の話です。
風営法第2条第11項は、「ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業」を対象にしています。ただし、客に酒類を提供して営むものに限ります。風俗営業に当たるものは、ここから除かれます。
午前0時から午前6時の間に少しでも営業すれば、深夜の条件を満たします。午前6時から翌日の午前0時前までだけの店は、除かれます。
最後のカッコ書きも大事です。風俗営業に当たる営業は、ここから外れます。たとえば、営業所内の照度を10ルクス以下にする低照度飲食店は、風俗営業の第2号です。その場合は、風俗営業の許可の話になります。
この制度は、2016年に始まりました。鳥取県の案内によると、改正法の公布は2015年6月24日、全体の施行は2016年6月23日です。客にダンスをさせる営業の規制の範囲が見直され、新しく特定遊興飲食店営業の規定が整えられました(鳥取県)。
深夜は人目が少なく、酔った客に営業者が働きかけて遊興をさせると、騒音や酔客の粗暴な行為など、風俗上の問題が生じるおそれが高い。だから、深夜・遊興・飲酒の3つがそろう営業に規制をかけている、と警察庁の解釈運用基準は説明しています(解釈運用基準第10)。
遊興は、文字どおり遊び興じさせることです。規制の対象になるのは、営業者側の積極的な行為で客に遊び興じさせる場合です(解釈運用基準)。
サービスは、主に2つの型が考えられています。ショーや演奏を見聴きさせる鑑賞型と、客に遊戯やゲームをさせる参加型です。鑑賞型では、ショーを見るよう客に勧める行為や、実演者が客の反応に対応し得る状態で演奏・演技を行う行為が、積極的な行為に当たります。参加型では、遊戯をするよう勧める行為や、盛り上げる言動・演出が当たります。
遊興に当たる例は、次のような行為です。
- 不特定の客に、ショー、ダンス、演芸などを見せる
- その場で歌う歌やバンドの生演奏を、不特定の客に聴かせる
- ダンスの場所を設け、音楽や照明の演出をして、不特定の客に踊らせる
- のど自慢大会のような遊戯や競技に、不特定の客を参加させること
- カラオケを設け、客に歌うことを勧めて、照明や合いの手で盛り上げること
- バーなどでスポーツ中継を見せながら、客に呼びかけて応援に参加させる
反対に、当たらない例もあります。録音された音楽やテレビの映像を流すだけの場合です。客が自分から希望したときだけ、カラオケの機械を動かす場合も、当たりません。ガールズバーやメイドカフェで、ショーやゲーム大会をせず、飲食物を出すだけの場合も同じです。スポーツ中継を、ただ見せるだけの場合も当たりません。
シーシャの営業が当たるかどうかは、3つの条件を一つずつ当てはめて考えます。
午前0時前に閉まる店、深夜に酒類を出さない店、深夜に遊興をさせない店は、3つのうち1つが欠けるので当たりません。
酒類の提供は広く読まれます。客が持ち込んだ酒類でも、グラスや氷、水割り用の水などを出せば、「酒類を提供する」に当たります(解釈運用基準)。
3つがそろわない場合でも、決まりはあります。バーのように酒類を出す飲食店(食事を主にする店は除く)が深夜に営業するときは、風営法第33条により、営業所ごとに公安委員会へ届出が要ります。届出書類は警視庁の案内にあります。20歳未満の人に営業所でたばこや酒類を提供することは、飲食店営業を営む人にも禁止されています(第32条第3項、第22条第1項第6号)。
特定遊興飲食店営業を営む人は、営業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けます(第31条の22)。許可の基準などは、風俗営業の規定が準用されます(第31条の23)。
営業できる場所には、制限があります。営業所を置ける場所は、都道府県の条例で決まる地域に限られます。京都府では「第3種地域」という区域で、ホテル等の中の基準に合う営業所は例外です(京都府警察)。
営業時間は、条例で制限されることがあります。京都府では、午前5時から午前6時までの営業が条例で禁止されています。
飲食店営業は、食品衛生法第55条第1項の許可を受けて営むものと、風営法が定義しています。この許可と公安委員会の許可は、別々です。
無許可で営むと、2年以下の拘禁刑か200万円以下の罰金に処され、両方が科されることもあります(第50条第4号)。偽りや不正の手段で許可を受けた場合も、同じ罰則の対象です(同条第5号)。
特定遊興飲食店営業は、「営業」の話です。営業とは、財産上の利益を得る目的で、同じ種類の行為を繰り返し続けて行うことです。継続性と営利性がなければ、深夜に遊興と飲食をさせても、当たりません。
短期間の催しでは、2晩以上にわたるものは継続性が認められます。1回につき1晩だけの催しを繰り返す場合は、引き続き6か月以上開かれないなら、継続性が認められず、営業に当たりません(第10の3)。
平素は遊興をさせていない店が、注目の試合などの日にだけ、たまたま短時間、深夜に遊興をさせた場合も、継続性は認められません。反復継続の意思がなかったときの話です。
ただし、結婚式の二次会のように、友人が営利目的でなく主催するパーティーで、営業者が有償で場所を貸し、深夜に酒類を出して照明や音響の調整もすることを繰り返す場合は、主催者は許可が要りませんが、営業者は許可が必要です。
低照度飲食店営業は、照度が10ルクス以下になる飲食店で、風俗営業の第2号です。区画席飲食店営業は、見通しにくく5平方メートル以下の客席を設ける飲食店で、第3号です。どちらも風俗営業なので、原則として深夜に営業できません(第13条第1項。条例で認められる日・地域の例外があります)。
特定遊興飲食店営業は、風俗営業とは別の許可です。条文は、風俗営業に当たる営業をここから除いています。風俗営業にある深夜の営業禁止(第13条第1項)は、準用されていません。
深夜以外の時間に風俗営業をして、その継続性を完全に絶ったうえで、深夜に特定遊興飲食店営業をすることは認められます。同じ営業所で2つの許可を重ねて受けることも可能です(解釈運用基準第12)。
深夜酒類提供飲食店営業は、バーなど酒類を出す飲食店(食事を主にする店は除く)が深夜に営業するときの届出です。遊興をさせるかどうかが、許可と届出の分かれ目になります。
特定遊興飲食店営業とは何ですか?
風営法第2条第11項の営業です。深夜(午前0時から午前6時)に営業し、客に遊興をさせ、酒類を提供する飲食店が当たります。営業所ごとに、都道府県公安委員会の許可が必要です。
BGMを流すだけでも「遊興」ですか?
当たりません。解釈運用基準は、録音された音楽やテレビの映像を流すだけの場合は、営業者の積極的な行為に当たらないとしています。
深夜に酒類を出すシーシャバーは、許可が要りますか?
バーのように酒類を出す店(食事を主にする店は除く)が深夜に営業するだけなら、風営法第33条の届出の対象です。さらに客に遊興をさせると、特定遊興飲食店営業の許可の対象になりえます。
許可なしで営むとどうなりますか?
2年以下の拘禁刑か200万円以下の罰金に処され、両方が科されることもあります(風営法第50条第4号)。
いつから始まった制度ですか?
改正法の施行日は2016年6月23日です(申請の受付に関する規定は同年3月23日施行)。2015年6月24日に公布された改正法で、客にダンスをさせる営業の規制の見直しと合わせて、新設されました(鳥取県の案内)。
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