喫煙目的施設
きつえんもくてきしせつSmoking-Purpose Facility
喫煙目的施設とは、改正健康増進法で、原則屋内禁煙の例外として屋内での喫煙が認められる施設の区分です。公衆喫煙所、たばこを対面販売する喫煙目的のバー・スナック等、店内で喫煙できるたばこ販売店の3類型があります。シーシャバーは2つ目に当たりうるとされています。喫煙目的室には20歳未満は立ち入れません。
改正健康増進法は、飲食店などの多くの人が使う施設を、原則として屋内禁煙にしています。その例外のひとつが喫煙目的施設です。法律では「喫煙をする場所を提供することを主たる目的とする施設」と定められています(健康増進法第28条第7号)。そのうち、法律の下位の決まりである政令(内閣が定めるもの)の要件に当てはまるものが、喫煙目的施設です。
似た名前の言葉がいくつかあるので、ここで区別しておきましょう。
- 喫煙目的施設は、施設の種類(区分)の名前です。この区分に当てはまる店は、定められた基準を満たした部屋(喫煙目的室)で喫煙できます。
- 喫煙目的室は、喫煙目的施設の中にある部屋のことです。煙が外に漏れない基準を満たし、入口に標識を掲示しています。
- 喫煙専用室は、飲食店など一般の施設が、屋内禁煙の例外として設ける喫煙だけの部屋です。室内で認められているのは、喫煙のみです。紙巻たばこの用語を扱う別のページの「喫煙専用室」を見てください。
- 加熱式たばこ専用喫煙室は、加熱式たばこに限り、喫煙と一緒に飲食もできる部屋です。シーシャは対象外です。加熱式たばこ専用喫煙室の項も参考になります。
喫煙目的施設の要件は、健康増進法施行令(政令)の第4条に書かれています。条文は、3つのうち、いずれかに当てはまればよいという書き方になっています。
- 公衆喫煙所は、施設の屋内の全部を、専ら喫煙をする場所にしているものです。
- 喫煙を主目的とするバー・スナック等は、たばこを販売する人が対面でたばこを販売し、屋内で喫煙する場所を提供することを主な目的とする施設です。あわせて飲食をさせてもよいのですが、通常主食と認められる食事を主として提供するものは除かれます。
- 店内で喫煙できるたばこ販売店は、たばこまたは喫煙専用の器具を販売し、喫煙する場所の提供を主な目的とする施設です。たばこは対面販売に限ります。ただし、設備を設けて客に飲食をさせる営業を行うものは除かれます。
厚生労働省の資料には、水たばこのシーシャについても明記があります(受動喫煙対策の見直しに関する議論のとりまとめ、令和8年(2026年)7月)。喫煙する場所を提供することを主たる目的とするシーシャバーであれば、喫煙目的施設に当たりうると書かれています。ここで言う「シーシャバー」は、2つ目の類型に当てはまる店のことです。実際に当てはまるかどうかは、店の実態で決まります。たとえば、何を主目的にしているか、主食を出していないか、などです。
シーシャバーが関わるのは、主に2つ目の類型です。そこで条文を言い換えて、読みやすいように分けてみます。施設の要件が3つ(1〜3)、部屋の基準が1つ(4)です。条文の数え方とは別の分け方です。
1. 「たばこを販売する者」が、対面で販売していること。たばこを売るには、たばこ事業法に基づく財務省の許可がいります。店が自分で取る小売販売業の許可があります(たばこ小売販売業許可)。すでに許可を持つ業者に依頼して、店を販売場所として登録する方法もあります。これが出張販売許可です。健康増進法の帳簿に書く内容も、この2種類のどちらかの許可に関する情報とされています(施行規則第20条)。
2. 喫煙の場所の提供が主たる目的であること。飲食がメインで、喫煙は付け足しという店は、この類型に入りません。
3. ドリンクや軽食は出せますが、通常主食と認められる食事を主に出す店は除かれます。何が「主食」かの線引きは、条文に細かく書かれていません。厚生労働省の専門委員会でも、要件の判断を助けるフローチャートや「主食」の考え方を示すことが検討されています。
4. 喫煙目的施設でも、屋内で吸えるのは、煙が漏れない基準に合った「喫煙目的室」の中だけです(法第29条、第35条)。基準は施行規則第18条に3つ書かれています。
- 出入口で、室外から室内へ流れ込む空気の気流が毎秒0.2メートル以上あること。
- 煙が室内から室外に流れ出ないよう、壁や天井などで区画されていること。
- 煙が屋外または外部の場所に排気されていること。
1〜3は「施設の要件」、4は「部屋の基準」です。施設の要件を満たしていても、部屋の基準に合っていなければ、屋内で吸える場所にはなりません。
- 喫煙目的室の出入口には、「喫煙を目的とする場所である旨」と「20歳未満の者の立入りが禁止されている旨」などを書いた標識を掲げます。施設の主たる出入口にも、喫煙目的室が設置されている旨の標識が必要です(法第35条第2項・第3項)。掲示しなかった場合は、50万円以下の過料の対象です(法第76条)。過料は、刑罰ではなく、行政が科す金銭の負担のことです。
- 20歳未満の立入りは、禁止されています。喫煙目的室には、20歳未満の人を立ち入らせてはなりません(法第35条第7項)。厚生労働省は、従業員であっても喫煙エリアには立ち入れないと説明しています。喫煙年齢制限も見てください。
- 2つ目と3つ目の類型の施設には、要件に関する帳簿を備えて保存する決まりがあります(法第35条第6項、施行令第5条)。帳簿がない場合などは、20万円以下の過料です(法第78条)。
- 営業の広告や宣伝では、喫煙目的室設置施設であることを明瞭かつ正確に表示することになっています(法第35条第8項、施行規則第21条)。
- 都道府県知事等は、要件や部屋の基準を満たさなくなったと認めると、勧告や命令、立入検査などを行うことができます(法第36条ほか)。
- 届出をして認定を受ける制度ではありません。 喫煙目的施設としての届出や認定の仕組みは、現行の制度にはないのです。要件を満たし、標識を掲示することで、この区分として扱われます。令和8年(2026年)7月の厚生労働省の専門委員会のとりまとめでは、届出を求めてはどうか、という方向性が示されました。省令(大臣が定める決まり)を改正する形で、運用上の課題を踏まえたものです。これは検討の方向性です。実際に始まる時期や内容は、省令が改正された段階で決まります。
- たばこの販売許可があれば喫煙目的施設になる、というわけではありません。 販売許可は、要件のひとつ(対面販売)にすぎません。専門委員会でも、たばこ販売許可があれば喫煙目的施設だと誤解している飲食店があるのではないか、という行政側の意見が出ています。
- 「4つの条件をすべて満たす」という数え方は、条文にありません。条文は、3類型のうちどれか、という形です。前に書いた「3つの類型」と「2つ目の類型」の節を見ると分かります。
- シーシャは「加熱式たばこ」の扱いにはなりません。加熱式たばこ専用喫煙室は、加熱式たばこに限る部屋です。加熱式たばこは、法律上は「指定たばこ」といいます。この部屋は経過措置、つまり制度を切り替える間の特例で、葉たばこを原料とする水たばこは対象ではありません。
喫煙目的施設とは別に、改正法の附則第2条には、既存の飲食店向けの特例があります(健康増進法附則第2条)。全面施行(令和2年(2020年)4月)の時点で、すでに営業していた飲食店が対象で、経過措置(制度を切り替える間の特例)として置かれています。資本金5,000万円以下の会社などが営む店で、客席の床面積が100平方メートル以下のものが対象です。大規模な会社が営む店や、客席が100平方メートルを超える店は対象外です。この特例では、標識の掲示などを条件に、喫煙できる部屋(喫煙可能室)を設けられます。期限は「別に法律で定める日まで」とされています。
つまり、既存の小規模な飲食店には、喫煙目的施設とは別の道があります。どちらの区分で営業しているかは、店ごとに違います。気になる場合は、店の掲示や、店のある自治体(保健所)の案内で確かめてください。令和8年(2026年)7月の厚生労働省のとりまとめでも、この特例の扱いが見直しの論点に挙がっています。
令和8年(2026年)7月に、厚生労働省の専門委員会が「受動喫煙対策の見直しに関する議論のとりまとめ」をまとめました。専門委員会は、審議会の下で専門的に検討する会議です。全面施行(令和2年(2020年)4月)から5年がたち、見直しの議論の中で、喫煙目的施設の要件の分かりにくさも課題として取り上げられました。
実態調査の結果も載っていて、割合はとりまとめの記述にそろえています。調査の対象数や実施時期など詳しい内容は、同資料の本文で確認できます。
- 「喫煙目的施設」と回答した施設に限ると、帳簿を備えていない施設が約4割ありました。帳簿は、面積や資本金などの要件を示す記録のことです。
- 喫煙目的施設である可能性のある施設で、入店時に喫煙できるかどうかを適切に表示している割合は、5割弱にとどまりました。
- 調査全体では、自施設がどの施設類型なのかを十分に把握していない施設が、2割弱ありました。
こうした状況を受けて、とりまとめでは、喫煙目的施設にも届出を求める方向や、判断のためのフローチャートなどを示す方向が挙げられています。お店を開く人は、最新の省令(大臣が定める決まり)と、店のある自治体(保健所)の案内を確認してください。東京都のように、独自の受動喫煙防止条例を設けている自治体もあります(東京都受動喫煙防止条例)。
- 入口の標識を見ましょう。喫煙目的室がある店では、施設の主たる出入口や部屋の入口に、標識の掲示が義務づけられています。喫煙できるかどうかは、入店前に分かるのが本来の姿です。
- 20歳未満の人は、喫煙目的室に入れません。客としても、同行者としても同じです。年齢確認を求められるのは、この決まりがあるためです。
- 主食を主として出すと、この区分から外れます。喫煙を主目的とするバー・スナック等の類型では、通常主食と認められる食事を主として出す店は除かれます。ドリンクや軽食は、条文上の除外対象ではありません。
- 受動喫煙防止法(改正健康増進法)は、この区分を含む法律の全体像です。
- 加熱式たばこ専用喫煙室の項では、経過措置の部屋との違いが分かります。
- 対面販売に必要な許可は、出張販売許可とたばこ小売販売業許可の項に書いてあります。
- ニュース記事なら、なぜシーシャ店は営業できるのか — 受動喫煙防止法と「喫煙目的施設」のしくみがあります。
- シーシャは違法?日本の法制度の全体像もあわせてどうぞ。
喫煙目的施設とは何ですか?
改正健康増進法で、原則屋内禁煙の例外として、屋内での喫煙が認められる施設の区分です。公衆喫煙所、喫煙を主目的とするバー・スナック等、店内で喫煙できるたばこ販売店の3類型があります(健康増進法施行令第4条)。
シーシャ店は喫煙目的施設ですか?
厚生労働省の資料には、喫煙する場所を提供することを主たる目的とするシーシャバーであれば、喫煙目的施設に当たりうる、と書かれています。当てはまるかどうかは、店の実態で決まります。問われるのは、対面販売があること、喫煙の場の提供が主な目的であること、主食を主として提供していないことです。
喫煙目的施設は届出が必要ですか?
現行の制度に、喫煙目的施設としての届出の仕組みはありません。令和8年(2026年)7月の厚生労働省の専門委員会のとりまとめでは、省令(大臣が定める決まり)を改正して届出を求める方向が示されました。ただ、これは検討の方向性です。開業する自治体の保健所で、最新の扱いを確かめてください。
喫煙目的施設に20歳未満は入れますか?
入れません。喫煙目的室には20歳未満の人を立ち入らせてはならないと、法律に定められています(健康増進法第35条第7項)。厚生労働省は、従業員も立ち入れないと説明しています。
喫煙専用室とは何が違いますか?
喫煙専用室は、飲食店など一般の施設が屋内禁煙の例外として設ける部屋で、室内では喫煙のみが認められます。喫煙目的施設は、喫煙の場の提供を主目的とする施設そのものの区分です。シーシャバーなどが当てはまりうる点が違います。
主食を出すと喫煙目的施設でなくなりますか?
喫煙を主目的とするバー・スナック等の類型では、通常主食と認められる食事を主として提供する施設は除かれます(施行令第4条第2号)。ドリンクや軽食は、条文上の除外対象ではありません。何が主食に当たるかは、店の実態に即して判断されます。
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