3行要約

  • テキサス工科大学の研究者が米労働統計局データを基に1990〜2024年の州データを合成差分の差分法で分析したところ、大麻合法化州で農業雇用が約9%増えたことが分かりました。
  • 一方で農業部門の賃金や、全産業の雇用・賃金には統計的に有意な影響は見られませんでした。
  • 米大麻産業の直接雇用は2026年初め時点で約41万2,500人に上るとされています。

大麻合法化は農業雇用をどれだけ押し上げたのか

嗜好用大麻を合法化した州では、農業部門の雇用が約9%有意に増加したことが分かりました。この結果は、テキサス工科大学の研究者による経済分析で示されたものです。研究者は先月開催のAgricultural & Applied Economics Association(AAEA)2026年大会でこの分析を発表しました。手法としては、米労働統計局(BLS)のQuarterly Census of Employment and Wages(雇用・賃金四半期センサス)の州レベルデータを用い、1990〜2024年を対象期間として合成差分の差分法(synthetic difference-in-difference、SDID)で推定しています。

なぜ雇用は増えたのに賃金は動かなかったのか

農業部門の賃金や、全産業の雇用・経済全体の賃金には統計的に有意な影響が確認されなかったためです。研究者はこの理由について、労働供給の弾力性(elastic labor supply)を挙げています。つまり、大麻産業の拡大に応じて労働力が比較的容易に流入・調整されたことで、賃金への圧力が生じにくかったとみられます。研究者は、政策立案者が同様の介入を設計する際には、導入のタイミングと地域労働市場の状況を考慮すべきだと示唆しています。

この結果は米国の大麻産業全体でどう位置づけられるのか

農業雇用の押し上げ効果は、州単位の合法化がもたらす経済的な波及効果の一端を示すものです。Marijuana Momentの記事では、2026年初め時点で米国の大麻産業の直接雇用が約41万2,500人に上るという文脈情報も紹介されています。今回の研究は、合法化の効果が雇用と賃金で異なる形で表れることを、州レベルの長期データを用いて定量的に裏付けた点に意義があります。