3行要約

  • ノースカロライナ州最高裁は2026年8月14日、大麻の臭いを含む諸事情の総合考慮が令状なし車両捜索の相当な理由になるとした2024年控訴裁判断を、審理打ち切りの形で維持しました
  • 対象は State v. Schiene 事件(メクレンバーグ郡、被告Codie Bruce Schiene氏)で、最高裁は裁量上告の受理を「improvidently allowed」として全員一致で審理を打ち切りました
  • 同裁判所は2026年5月22日のState v. DobsonとState v. Rowdyの2判決ですでに同じ論点に答えており、今回はその先例をなぞる格好になりました

州最高裁は何を決めたのか

State v. Schiene事件で、証拠排除の申立てを退けた一審判断とそれを支持した2024年の州控訴裁判断を、実質的にそのまま確定させました。控訴裁は「大麻の臭いを含む諸事情の総合が、法執行機関に捜索の相当な理由を与えた」と理由づけていましたが、最高裁は2026年8月14日(金)、いったん受理した裁量上告を「improvidently allowed(受理すべきでなかった)」として全員一致で審理を打ち切り、控訴裁の判断がそのまま効力を持つ形にしました。意見を書いたPhil Berger Jr.判事は「To the extent the opinion of the Court of Appeals is consistent with Dobson and Rowdy, the opinion below remains undisturbed(控訴裁の意見がDobsonおよびRowdyと整合する限り、原審の判断は変更されない)」と述べています。

なぜ最高裁は新たな判断を示さなかったのか

同じ論点にはすでに5月のDobson・Rowdy判決で答えていたからです。Berger Jr.判事は今回の意見で「This Court has therefore already answered the single question on which review was allowed in this matter(したがって当裁判所は、本件で上告が受理された唯一の論点にすでに答えている)」と明言しました。2026年5月22日、同最高裁はState v. DobsonとState v. Rowdyの2件で、大麻の臭いを令状なし捜索の相当な理由を判断する「諸事情の総合考慮」の一要素として扱えると判示済みでした。Berger Jr.判事は「This Court recently reaffirmed that ‘we continue to follow our precedents which require examination of the totality of the circumstances to determine whether probable cause exists’ and that ‘the odor of cannabis is one factor that may be considered’(相当な理由の有無を判断するには諸事情の総合考慮を求める先例に引き続き従うこと、そして大麻の臭いは考慮しうる一要素であることを、当裁判所は最近再確認した)」と引用しています。なお、SchieneとDobson両氏の弁護人は同一で、両事件の再審理を最高裁に求めていました。

ヘンプ合法化がなぜこの議論の火種になっているのか

ノースカロライナ州では合法なヘンプと違法なマリファナの臭いが事実上見分けられないためです。Dobson判決を執筆したAnita Earls判事(全員一致)は「合法ヘンプと違法マリファナの臭いは事実上同一(virtually identical)であるため、その臭いが憲法修正4条の下で令状なし捜索の相当な理由の判断にどう影響しうるかが問題になる」と論点を提起した上で、「連邦の修正4条法理の下で、相当な理由の有無は『諸事情の総合』の審査を求める当裁判所の先例に引き続き従う」と判示しました。Dobson氏は控訴裁が大麻臭とカバー臭(匂い隠し)を結びつける「違憲な『二重臭気』ルール」を適用したと主張しましたが、最高裁は「警察官が相当な理由の判断で依拠したのはマリファナの臭いとカバー臭だけではなかった」として退けています。姉妹事件のRowdy判決(執筆はAllison Riggs判事)では、Terrel Rowdy氏が交通停止に伴い身体と車両の2つの捜索を受けた事案で、「停止命令への不応、『犯罪多発地域』での所在、薬物・武器の前科、マリファナの臭い、質問への回避的な態度」の総合により、身体捜索は合理的嫌疑基準を、車両捜索は相当な理由基準を、それぞれ満たすと判断されました。州ではヘンプが合法、マリファナ(嗜好用大麻)は違法という制度が並存する中、臭いだけでは両者を区別できない点が一連の訴訟の争点の核心になっています。