3行要約
- DEAが、HHC(ヘキサヒドロカンナビノール)を連邦スケジュールI規制物質と明記した2026年5月規則を争う訴訟に応答書面を提出したと、Marijuana Momentが8月13日に報じました
- ヘンプ企業のBluestar Operationsは第4巡回区控訴裁、IHC Investmentsは第9巡回区控訴裁でそれぞれDEAを提訴しており、第4巡回区は6月にBluestarの執行停止申立てをすでに却下しています
- DEA側は規則を「技術的なもの」で新たな義務を課さないと説明する一方、原告側は2018年農業法下でヘンプに該当するHHCの扱いを狭める権限がDEAにはないと反論しています
DEAはなぜ「原告に資格なし」と主張するのか
DEAは現地時間の火曜に提出した書面で、2026年5月の規則は既存の禁止を追認しただけだとして、Bluestar Operationsには原告適格がないと主張しました。理由として、2026年5月の規則は「新たな義務や責任を課していない」こと、Bluestarが規則に起因する具体的な損害を特定できていないこと、仮に規則を無効化してもHHCはスケジュールIのままで救済にならないことを挙げています。さらに、ヘンプの定義が2026年11月12日発効予定で見直される中、この請求は今後の出来事に「追い越される(overtaken by events)」とも主張しました。規則自体についてDEAは、HHCに固有のドラッグコードを割り当てた措置を「技術的なもの」で「実質的効果はない」と説明し、「HHCは合成の幻覚剤であり、何十年も前からスケジュールIに含まれてきた」との立場を崩していません。
原告側の反論の核心は何か
原告側の核心は、議会が合法化したヘンプの範囲をDEAが行政措置で狭めているという主張です。BluestarとIHC Investmentsは、2018年農業法がヘンプ由来物質を広く合法化した条文の下でHHCもヘンプに該当すると主張し、DEAにはその範囲を狭める権限がないとしています。根拠として、第4巡回区ではTHC-Oアセテートを合法ヘンプと判断した先例、第9巡回区ではデルタ8THCを連邦法上合法と判断した先例があることを挙げ、今回の規則はmajor questions doctrine(重要問題の法理)にも違反すると主張しています。損害についても、コンプライアンス費用の増加、事業の不確実性、風評被害を具体的に指摘しています。HHCは大麻草にごく微量にしか天然存在せず、通常はCBDを水素化して合成される物質で、精神活性はデルタ9THCに類似するとされます。2023年にはDEAのDrug and Chemical Evaluation Section責任者だったTerrance Boos氏が「HHCは大麻植物に天然には存在しない」と書簡で説明しており、今回の規則通知にはDEA長官Terrance Cole氏が署名しています。なお国連麻薬委員会は2025年にHHCをスケジュールIIに追加していますが、米国はこの決定を棄権しています。
この訴訟は業界にとってどんな意味を持つのか
ヘンプ再定義の発効を控える中で、合成カンナビノイドの法的地位を左右しうる先行事例になります。2025年末の法改正でヘンプの定義は容器あたり総THC0.4mgまでに再定義され、2026年11月12日に発効する予定です(上院法案は12月11日への延期を提案中)。この再定義を控える中、HHCが「合成の禁止物質」なのか「農業法上のヘンプ由来物」なのかという線引きは、今回の2件の控訴審の行方次第で先例的な意味を持つことになります。DEAが原告適格の欠如を主張して争点そのものを退けようとしているのに対し、原告側は損害の具体性と先例の存在を根拠に本案審理を求めており、両巡回区の判断は今後の合成カンナビノイド規制のあり方に影響を与えることになりそうです。

