3行要約

  • 慢性腰痛患者1,000人を10年間追跡した観察研究で、医療大麻を使った患者のオピオイド使用量が平均89.8%減少したことが分かった。
  • 痛みのスコアも10点満点中8.71点から1.37点へ84.2%低下し、身体機能の障害度も30.4%改善した。
  • 研究は単一施設での対照群なしの観察研究であり、大麻単独の効果だと証明するものではないと論文自身が限界を明記している。

どんな研究だったのか

米国の研究チームが、画像検査で慢性腰痛と確認され、それまで大麻を使ったことがなかった患者1,000人を対象に、医療大麻治療の効果を10年間追跡した。研究結果は2026年9月14日、欧州脊椎学会の学術誌European Spine Journalに掲載された。10年間の追跡を完了したのは1,000人中638人(63.8%)だった。

オピオイド使用量はどれだけ減ったのか

1日あたりのオピオイド使用量は、モルヒネ換算で開始時の62.8mgから10年後には6.4mgまで減少した。減少率は89.8%で、患者の91%が「オピオイド使用量を半分以上減らす」という目標を達成した。SSRI・ガバペンチン・ベンゾジアゼピン・トラマドールなど、他の薬剤の使用量も併せて減少したという。

安全性はどう評価されているか

延べ8,089回の通院のうち、口の渇きや消化器症状といった忍容性に関わる有害事象が報告されたのは11.4%だった。重篤な精神症状が報告されたのは通院全体の0.02%にあたる2回のみで、入院・死亡・有害事象による治療中断・大麻使用障害の発症例は報告されなかった。

一方でこの研究は単一施設での観察研究であり、プラセボ群や無治療の対照群を置いていない。そのため論文自身も、痛みやオピオイド使用量の減少が大麻単独の効果だと断定はできないとしている。それでも10年という追跡期間の長さと1,000人という規模は、この分野の研究としては異例の厚みがある。