3行要約
- オマーン消費者保護庁(CPA)が王立オマーン警察(ROP)・検察と連携し、バルカ地区の住宅を転用した無許可製造拠点を摘発。ペット用木くずを液体・香料と混ぜて有名ブランドを模した袋に詰め、フレーバー付きシーシャ用タバコとして販売していた実態が明らかになりました。押収量はフレーバー付きタバコ10,509袋、液体3,550kg、木くず10,024kgと、合計13トンを超えます。
- ほぼ同時期の7月6日には、モロッコの王立憲兵隊がラルアーシュ県で、生タバコ・モラセス・植物性グリセリン・香料を使ってシーシャ用モラセス(マアセル)を密造・販売していた拠点を摘発。生タバコやモラセスに混じって大麻も押収されました。
- 両国の事例は手口も規模も異なりますが、「フレーバー付きシーシャ用タバコの出所が分からないまま流通しうる」という共通の脆弱性を浮き彫りにしており、正規に出典を追える銘柄を選ぶことの意味を改めて示しています。
オマーン、住宅を転用した製造拠点を摘発
オマーンの消費者保護庁は、王立オマーン警察・検察当局と連携し、バルカ地区の住宅が無許可のタバコ製造拠点に転用されていた事案を摘発しました。「タバコ製品を製造・保管している」との通報を受け、検察から捜索令状を取得したうえで強制捜査を実施したところ、アジア系労働者4人が現場でフレーバー付きシーシャ用タバコを混合・製造・包装している最中に発見されたといいます。
手口として確認されたのは、本来ペット用に使われる木くずを液体や香料と混ぜ合わせ、有名ブランドのロゴを模した袋に再包装して販売するというものです。押収されたのはフレーバー付きシーシャ用タバコ10,509袋、液体3,550kg、木くず10,024kg、さらに機材一式と偽造ラベルで、総量は13トンを超えます。Muscat Dailyは7月12日付でこの事案を報じ、CLOUDも7月14日付でオマーン側の複数の摘発事例(6月28日・7月2日・7月5日)を含めて伝えています。
モロッコでも密造拠点を摘発、大麻も同時押収
ほぼ同時期、モロッコでも同種の摘発がありました。地元メディアLarache Newsの報道によれば、タンジェ地域司令部傘下のラルアーシュ分隊(王立憲兵隊)は7月6日月曜日夕方、ラルアーシュ県ベニ・ジドゥール地区で、シーシャ用モラセス(マアセル)の違法製造・販売に関与していたとみられる人物の車両を検査し、販売準備中のモラセス製品を押収しました。現場からは生タバコ、モラセス、植物性グリセリン、食品香料、砂糖などの原材料に加え、粉砕機・調理機器・包装機・電子秤といった製造機器、さらに完成品のシーシャ用タバコと包装用の袋類が見つかっています。押収品の中には大麻も含まれており、容疑者は検察の指示のもとで取り調べを受けているとのことです。押収量そのものは記事に明記されていません。
フレーバーの「出所」を追えることの意味
当研究所のフレーバーデータベースは、財務省が公表する輸入たばこ・国産たばこの小売定価認可データを一件ずつ収集し、2026年7月時点で76ブランド・3,042銘柄を、初回認可日や原産国の情報つきで記録しています。今回のオマーン・モロッコの事例は日本国内で流通する製品とは直接関係しませんが、「フレーバー付きシーシャ用タバコ」という商品カテゴリーが、原材料や製造元をたどれない形で流通しうるという構造的なリスクを示す事例として参考になります。有名ブランドのロゴを模した偽造パッケージが実際に確認された以上、消費者側が銘柄名だけを頼りに真贋を見分けるのは難しく、店舗が仕入れ段階で正規代理店・正規輸入ルートを経由しているかどうかを確認する重要性は、日本国内でも変わりません。当研究所が財務省の認可データに基づいて全銘柄に出典を付けているのも、こうした「どこの誰が作ったか分からないフレーバー」を見分ける手がかりを提供する狙いによるものです。
研究員の考察
オマーンの事例で特に印象的なのは、木くずという明らかにタバコ葉ではない素材が使われていた点です。密造品は単に無許可というだけでなく、原材料の安全性そのものが担保されない危険性をはらんでいます。モロッコの事例でも大麻が同時に見つかっていることから、密造ネットワークが単一の違法物質だけでなく複数の裏取引と結びついている可能性がうかがえますが、この点について両国当局から踏み込んだ説明はまだなく、憶測の域を出ません。今回の2件が同時期に別々の国で摘発された偶然なのか、それとも地域を越えた密造流通の広がりを示す兆候なのかは、現時点の報道からは判断できません。今後の当局発表を注視していきます。


