3行要約

  • スペイン政府は2026年7月21日、閣議でたばこ規制法改正案(たばこ法案)を承認しました。バー・レストランのテラス、海浜・河川沿いのビーチ、公共プール、スポーツ施設、国立公園、大学キャンパスなどを新たに禁煙区域に加える内容です。
  • 改正案は電子たばこ(ニコチンの有無を問わず)、喫煙用ハーブ製品、そしてシーシャを「たばこが禁止されるあらゆる場所」で紙巻きたばこと同列に扱うと明記しており、シーシャ店が屋外テラスを喫煙スペースとして活用する余地は今後狭まる可能性があります。
  • 改正案はまだ法律として成立したわけではなく、今後国会(Cortes Generales)での審議を経る必要があります。施行は官報公布から20日後を予定していますが、審議日程・最終的な条文は今後変わりうる段階です。

テラス・ビーチ・大学キャンパスまで対象に

スペイン保健省が7月21日付で公表したプレスリリースによれば、今回の改正案は既存の「無煙空間」の対象を、バー・レストラン等の飲食店テラス、海浜・河川沿いのビーチ、集団利用プール、スポーツ施設、国立公園にまで拡大するものです。Diariofarma、El Farmacéutico、Moncloaなど複数のスペインメディアも同日から翌日にかけて同様の内容を報じており、大学キャンパスや公共交通機関の駅舎・待機エリアも新たに禁煙対象に加わるとされています。さらに医療・教育・文化・スポーツ施設の出入口から半径15メートル以内での喫煙も禁止される見通しです。

テラスの扱いについては段階的な区分が設けられており、屋根があり側壁が3面以上あるテラスは「屋内」とみなされ全面禁煙となる一方、完全に開放されたテラスでも喫煙者と非喫煙者の間に一定の安全距離を確保することが求められます。施行はスペイン官報(BOE)への公布から20日後で、案内表示の更新には2か月の猶予期間が設けられるとしています。ただし今回承認されたのはあくまで「法案(proyecto de ley)」であり、今後は国会に送付されて審議が始まる段階です。Moncloaの報道では本会議での最終採決は2027年夏前を見込むとされていますが、これは現時点の見通しに過ぎず、審議の過程で内容が変わる可能性は残ります。

シーシャは紙巻きたばこと「同列」に

今回の改正案で見過ごせないのが、Diariofarmaが報じた「電子たばこ(ニコチンの有無を問わず)、喫煙用ハーブ製品、そしてシーシャを、たばこが禁止されるあらゆる場所で紙巻きたばこと同列に扱う」という条項です。さらにEl Farmacéuticoの報道によれば、喫煙用ハーブ製品やシーシャの販売・提供は専門店に限定される方向だといいます。

この規定が意味するのは、スペインのシーシャラウンジにとって、屋内での喫煙規制を回避する手段として使われてきた屋外テラスが、今後は紙巻きたばこと同じ扱いで規制対象に入るということです。屋根と3面以上の壁を備えたテラス席でシーシャを提供している店舗であれば、今回の改正案が施行された場合、実質的に屋内喫煙と同じ扱いを受けることになります。完全にオープンなテラスであっても、利用客同士の安全距離の確保が求められるため、テーブル配置や座席数の見直しを迫られる店舗が出てくる可能性があります。

研究員の考察

スペインは欧州でもシーシャ文化が根づいている国の一つで、今回の改正案がそのまま成立すれば、店舗経営への影響は小さくないとみられます。もっとも、法案は閣議承認の段階にとどまり、国会審議を経て条文がどう最終化されるかはまだ流動的です。特にシーシャや喫煙用ハーブ製品を巡る「専門店限定」の販売規制がどこまで具体化されるのか、屋外テラスの「安全距離」の具体的な基準がどう定められるのかは、今後の審議で詰められる部分でしょう。ドイツの水たばこ税引き上げ案やEUのたばこ製品指令(TPD)改正議論と合わせて見ると、欧州全体で水たばこを紙巻きたばこと同列に扱う規制強化の流れが強まりつつあることがうかがえます。当研究所としては、国会審議の進捗と、実際に確定する罰則額・施行時期を引き続き追っていきます。