フルーキュアードリーフ
ふるーきゅあーどりーふFlue-Cured Tobacco
フルーキュアードは、納屋に熱を送り、温度と換気を調節して葉を1週間ほどで乾かす製法です。燃料の煙は葉に触れません。糖分が残りやすく、明るく甘いバージニア種の代表的な乾燥方法です。
「フルー」は、熱を通す管のことです。管は、外から燃料をくべる火室につながっていて、燃料の煙は葉に触れません。
乾燥が早いので、葉の糖が分解されずに残ります。仕上がりは明るい黄色から橙色の葉で、自然な甘みがあります。この乾燥法で仕上げる代表的な葉が、バージニア種です。
反対側にいるのが、時間をかけて空気で乾かすエアキュアードリーフです。煙で燻すファイヤーキュアードタバコとも別の製法です。
米国農務省の規則では、フルーキュアドは、人工的な条件で、熱と換気を調節して乾かす方法です。燃料の煙やガスは、葉に触れさせません。
バージニア工科大学の資料は、乾燥を三つの段階に分けています。最初は黄変です。納屋の中の空気の温度(乾球温度)を100°F(約38℃)に保ち、葉がすべて黄色くなるまで待ちます。収穫した葉をこの間は生かしておくことで、望ましい化学変化と色の変化が進みます。
葉が黄色くなって、しおれたら、温度を130°F(約54℃)まで上げて、葉を乾かします。最後は160°F(約71℃)で、茎を乾かします。昇温は、どの段階も1時間に2°F(約1℃)ずつです。
温度を上げるのは、葉の組織を止めるためです。黄色くなる前に早く止めると、葉は緑のまま残ります。狙う色は、レモンがかったオレンジ色です。温度の設定は、農家ごとに違っても、無理のない範囲に収まっていればよいそうです。
かかる日数は、Wikipediaが約1週間、Tobacco Reviewsが1週間から10日と書いています。
ケンタッキー大学の資料に、バーレー種の乾燥と並べた説明があります。資料は、葉の変化を二つの段階に分けています。最初の段階は、どの種類のたばこでも起きる、酵素の働きです。多糖が単純な糖に変わります。
空気乾燥の葉は、そのあとに酸化の段階へ進みます。単純な糖は、酸と二酸化炭素と水に変わっていきます。
フルーキュアドの葉は、約105°F(約41℃)を超える温度にさらされます。酵素が働かなくなり、第二の段階に進みません。そのため、バーレー種より、糖、アミノ酸、リンゴ酸、ポリフェノールが多く残ります。第一の段階で得た黄色も保たれます。
Tobacco Reviewsも、早く乾かすと、天然の糖が分解される前に閉じ込められると書いています。
始まりは、1839年の米国ノースカロライナ州です。アビシャ・スレイドの農場で、ステファンという奴隷にされた男性が、乾燥小屋の火を見守っていました。眠ってしまい、目を覚ますと火が消えかけていました。
ステファンは、鍛冶場の炭をくべて、火を強くしました。急な熱で、葉は鮮やかな黄色に乾きました。NCpediaも、ノースカロライナ州の文化資源局も、眠ってしまったステファンが炭で火を強めた、という筋を伝えています。
スレイドは、はじめ原因がわからなかったそうです。その後、この方法を確実に再現できる手順に仕上げました。NCpediaは1856年までに確かな手順ができたと書き、州の標識は1850年代に完成したと書いています。1857年には、年に2万ポンドを収穫していました。
初めは炭で乾かしていました。熱を送る管(フルー)を使う方法は、あとから生まれています。この黄色い葉は、はじめ「ブライトリーフ」と呼ばれ、のちにフルーキュアードたばこの名で知られるようになりました。
Wikipediaによると、フルーキュアードの葉は糖が多く、ニコチンは中程度から多めです。紙巻きたばこの多くがこの葉を使い、煙は穏やかで吸い込みやすくなります。
米国農務省の等級では、フルーキュアドは類1で、タイプ11〜14に分かれます。産地は、バージニア州とノースカロライナ州の丘陵地から沿岸部です。サウスカロライナ州の沿岸部、ジョージア州南部、フロリダ州北部、アラバマ州の一部もあります(2010年版)。
CLOUDの記事によると、書き手が吸ってきたシーシャフレーバーは、ほとんどがブロンドリーフ(バージニア種)です。葉を洗ったり煮たりするので、ほとんどニコチンが残らない、という説明もあります(ブロンドリーフ)。
米国で2020〜2022年に売られたシーシャ製品40サンプルを分析した論文では、13社中11社の製品が、フルーキュアード葉ベースでした。残る2社は、ダークエアキュアード葉がベースでした。論文は、集めた製品が市場の代表とは限らないと断っています。
同じ論文によると、多くのシーシャ製品に使われるフルーキュアード葉は、「糖蜜をよく吸う」ように特別に育てて加工されています。伝えられるところでは、葉のニコチンは1%前後、還元糖は20%を超えます。メーカーから渡された葉の分析では、アルカロイドは3件とも乾燥重量の1%未満でした。総糖は、分析できた2件で29.2%と32%でした。製品のニコチン濃度は、多くのメーカーが約0.1%を狙っています。
フルーキュアードの葉に糖が残るのはなぜですか?
ケンタッキー大学の資料によると、約105°F(約41℃)を超える温度で酵素が働かなくなり、糖が酸などに変わる段階に進まないためです。
バージニア種とフルーキュアードは同じ意味ですか?
意味が違います。バージニア種は葉の種類で、フルーキュアードは乾燥の方法です。PMIは、フルーキュアードをバージニア種の乾燥法として挙げています。
フルーキュアードは、煙でいぶす製法ですか?
いぶしません。米国農務省の規則は、燃料の煙やガスを葉に触れさせないことを条件にしています。煙で燻す製法は、ファイヤーキュアードです。
エアキュアードとの違いは何ですか?
熱で早く乾かすか、空気でゆっくり乾かすかが違います。熱で乾かすと糖が残り、空気で乾かすと糖が少なくなります。
- 米国農務省 7 CFR 30.11(flue-cure の定義)
- 米国農務省 7 CFR 30.31・30.36(2010年版。葉たばこの分類・タイプ・産地)
- バージニア工科大学 普及資料「Curing Tobacco」(フルーキュアード生産ガイド2024年版)
- ケンタッキー大学「Burley Curing Technology(AEU-93)」
- PMI Glossary「Tobacco curing」
- NCpedia「Slade, Abisha」
- ノースカロライナ州 文化資源局「Bright Leaf Tobacco (G-5)」
- Wikipedia「Tobacco」(Curing)
- Tobacco Reviews「Pipe Tobacco Crash Course」
- CyberChill「葉タバコ・シャグ・パイプ葉 大辞典」
- CLOUD「シーシャフレーバーに使われるタバコの葉の種類」
- Lauterbach「Waterpipe Tobaccos, Part I」(Contributions to Tobacco & Nicotine Research, 2024)