ウォーターパイプ
うぉおたあぱいぷWaterpipe
ウォーターパイプ(waterpipe)は、フーカー、ナルギレ、シーシャなど各地の呼び名が指す器具を、一つの名前でまとめて言う英語です。WHOのページやFDAの文書でも使われ、医学用語集 MeSH では Smoking Waterpipes という形が入口の語に入っています。ただし、米国CDCは hookah を使うなど、機関によって選ぶ語は違います。
ウォーターパイプ(waterpipe)は、水パイプを指す英語です。フーカーやナルギレ、シーシャなど、各地の呼び名をまとめて言う言葉です。
WHOのページは、水パイプを、炭でたばこを間接的に温めて吸うものと説明しています。煙は水の入った容器を通り、ゴムのホースから吸い口へ引かれます(WHO)。
同じページは、名前の例も並べています。例は、Hookah、Narghile、Argileh、Shisha です。Hubble-bubble と Goza も入っています。アルギレやハブルバブルも、この並びに入っています。
機関ごとに、選ぶ語が違います。waterpipe に統一されているわけではありません。
- WHOのページは、waterpipe を見出しに使っています。TobaccoTactics は、WHOの定義を紹介しています。煙が水などの液体を通ってから、吸う人に届くように作られた器具、というものです(TobaccoTactics)。
- 米国FDAは、ページの題を Hookah Tobacco (Shisha or Waterpipe Tobacco) としています。本文では、器具を hookah device (or waterpipe) と書きます(FDA)。
- 米国CDCは、題も本文も hookah を使っています。別名の一覧には、narghile、argileh、shisha、hubble-bubble、goza が入っています。waterpipe は入っていません(CDC)。
- 米国国立医学図書館の医学用語集 MeSH は、見出しを Smoking Water Pipes としています。入口の語には、hookah、shisha、narghile などが並びます(MeSH)。
- 日本の厚生労働省 e-ヘルスネットは、「水パイプたばこ」と書いています。そのページに、「水たばこ」「シーシャ」「フーカー」は出てきません(e-ヘルスネット)。
研究者のなかには、この言葉を批判する人もいます。Kamal Chaouachi 氏の2007年の論文(要旨)は、「紛らわしい新語」である waterpipe の普及を問題にしました。対比したのは、何世紀も使われてきた明快で自然な言葉、たとえば hookah、narghile、shisha、goza などです(論文)。
水パイプは、煙を水に通す作りの器具です。ただ、その水が煙の有害な成分を取り除くかどうかは、別の問題です。
CDCは、hookah の水は煙をろ過しない、と書いています。炭の強い熱にたばこがさらされる点も、同じページの指摘です。水が煙を無害にするという考えは、歴史の話にも出てきます。WHOのページには、煙を先に少量の水に通せば害がなくなる、と考えた医師の話があります。
この辞典のベースの項も、水は有害な成分を取り除くフィルターではない、という立場です。
起源は、はっきりしていません。WHOのページも、起源は定かでないとしたうえで、交易路を通って、アジア、中東、アフリカに広まったと説明しています。
英語版Wikipediaには、ムガル帝国のインドで、アクバル帝に仕えた医師が考案したという伝えがあります。いっぽうで、サファヴィー朝のペルシアで生まれ、あとからインドへ伝わったという見方です。Turkey Travel Planner のページは、インドで始まり、のちにイラン人とアラブ人に広まったと書いています。
日本語版Wikipediaは、中国、アフリカ、ペルシア、インドなどの説があると書きます。研究者の川床邦夫氏は2005年に、近年はインド起源説が有力だが定説はない、と述べました。大麻やアヘンの吸い方から発展した、という説も紹介されています。
TobaccoTactics によると、19世紀の終わりごろの水パイプは、中東の年配の男性に人気でした。1990年代の初めに、甘くて香りのついたたばこが登場すると、若い人に急に広がりました。大学や学校を通じて世界に広がり、カフェの文化が、社会での受け入れを進めたそうです。
香りつきのたばこが生まれた時期は、出典で少しずれます。日本語版Wikipediaは、現在の香りつきの水タバコは1989年にエジプトのナハラ社が考案したとし、最初の味はりんごだったと書きます。
日本語版Wikipediaの冒頭は、水タバコの別名に、シーシャ、水煙管、水ギセル、水パイプを挙げます。日本では「シーシャ」や「水タバコ」が一般的だと、CLOUDは書いています。
厚生労働省の呼び方は、「水パイプたばこ」です。e-ヘルスネットは、これを「たばこの煙を水にくぐらせて吸うもの」と説明します。中東、東欧で用いられ、近年広がりを見せている、という説明も添えています。
同じページは、どのたばこも葉が材料なのでニコチンを含み、火をつけるかどうかにかかわらず、ニコチンと発がん性物質にさらされると書いています。水パイプたばこも、その一つです。まわしのみでは、ウイルス感染などの別のリスクもあります。
どこまでを水パイプと呼ぶかは、資料によって決め方が違います。
西太平洋の国々では、水パイプが bong と呼ばれる、と TobaccoTactics は書いています。例は中国、ラオス、ミャンマー、ベトナムです。中東のものとは作りが違い、竹、金属、ガラスなどで作られることがあります。日本語版Wikipediaは、ボングは水受けが小さくコンパクトで、狭い意味の水タバコとは区別されることが多い、と説明します。
TobaccoTactics は、e-hookah や e-shisha は炭を燃やさないので水パイプの器具ではなく、電子ニコチン器具(電子たばこの仲間)に分類されると書いています。日本での扱いは、電子シーシャの項にあります。
MeSH の定義は、たばこ、大麻などの物質を吸うための、煙を水に通すパイプです。たばこ以外の物質も入る広い定義です。
ウォーターパイプとは何ですか?
水パイプを指す英語です。フーカー、ナルギレ、シーシャなどの呼び名が指す器具を、一つの名前でまとめて言うときに使われます。
ウォーターパイプとシーシャは同じですか?
同じ種類の器具を指します。CLOUDはシーシャを主に北アフリカ(エジプトなど)の呼び名と整理しています。ウォーターパイプは、各地の名前をまとめて言う言葉です。
水パイプの水は煙をこしますか?
CDCは、水は煙をろ過しないと説明しています。炭の熱にたばこがさらされる点も、同じページに書かれています。
水パイプは、どこで生まれましたか?
はっきりしていません。ムガル帝国のインドで生まれたという伝えと、サファヴィー朝のペルシアで生まれたという見方があります。WHOも、起源は定かでないとしています。
日本の公的な資料では、何と呼んでいますか?
厚生労働省 e-ヘルスネットは、「水パイプたばこ」と書いています。日本語版Wikipediaの冒頭は、シーシャ、水煙管、水ギセル、水パイプを別名に挙げています。
- WHO FCTC「Waterpipe overview」(waterpipe の定義・名前の一覧・起源)
- TobaccoTactics「Waterpipe」(名前、WHOの定義、電子式との区別、広まり方)
- 米国FDA「Hookah Tobacco (Shisha or Waterpipe Tobacco)」(hookah と waterpipe の併記)
- 米国CDC「Hookahs」(hookah の別名、水は煙をろ過しないこと)
- 米国NLM MeSH「Smoking Water Pipes」(医学用語集の見出しと入口の語)
- Chaouachi「The Narghile (Hookah, Shisha, Goza) Epidemic and the Need for Clearing up Confusion…」(The Scientific World Journal, 2007)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「たばこの形態」(水パイプたばこ)
- Wikipedia(日本語)「水タバコ」(日本語の呼び名、ボング、起源の諸説)
- Wikipedia(英語)「Hookah」(起源の諸説)
- CLOUD「「Shisha」と「Hookah」はどちらがメジャーな呼び方なのか」(日本での一般的な呼び方)
- Turkey Travel Planner「Nargile (Turkish Water Pipe)」(インド起源とされること)