ガリヤーン
がりやあんGhalyan / Ghaliyan
ガリヤーン(ペルシア語で قلیان、ghalyan とも書く)は、イランで水パイプを指す言葉です。語源は、パイプを意味するアラビア語の語とする説明と、「沸く」を意味する語とする説明があります。イランでは、茶店やピクニックで楽しまれ、若い人のほうが多く吸うと紹介されています。
ガリヤーンは、イランで水パイプを指す言葉です。ペルシア語では قلیان と書きます。日本語のシーシャや、英語のフーカーとほぼ同じ器具のことです。
世界の呼び名を整理したCLOUDの記事では、ガリヤーンは現在のイランが中心の名前です。このほか、現在のトルコで用いられる名前にナルギレがあります。日本語版Wikipediaは、同じ系統の名前としてロシア語のカリヤンを挙げています。
ローマ字のつづりは、ghalyan、ghaliyan、qalyan、ghalyun などがあります。ペルシア語の別形には、غلیان と قلیون もあります。口語では「ガリユーン」とも言うそうです。
語源の説明は、出典で少し違います。
英語版Wiktionaryは、ペルシア語の qalyân を、アラビア語の ġalyūn(喫煙用のパイプ)からの借用としています。語尾を直した形で、「過剰修正」だという説明です。イランの口語ペルシア語での語尾の発音を反映した直し方です(Wiktionary)。
同じ項目は、「沸騰」を意味するアラビア語 ġalayān も、この形を後押しした可能性がある、と添えています。ロシア語版Wikipediaは、元はアラビア語の「沸く」だという説明です。日本語版Wikipediaは、ペルシア語の「沸騰」や「泡立ち」が語源だという説明です。
つまり、パイプを意味する語が元だという説明と、「沸く」から来たという説明があります。
英語版Wikipediaは、イランでの文献の最も古い手がかりとして、詩人アフリー・シーラーズィー(1535年没)の四行詩を挙げています。この詩に ġalyān という語が出てきます。
ただし、同じ記事は、水パイプが存在した証拠は1560年代まで見つからない、とも書きます。たばこがインドに届いたのは17世紀だとも書いていて、詩が指すのは別の物質かもしれない、という見方です。日本語版Wikipediaも、16世紀初頭の詩に出てくる一方で、たばこの伝来は一般に1585年から1600年ごろとされる、と書いています。
つまり、語が詩に出てくる時期と、たばこを吸う器具としての時期は、出典の上でずれています。17世紀半ばになると、様子がはっきりします。英語版Wikipediaによると、アッバース2世(在位1642〜1666年)の時代には、水パイプの使用が「国民的な中毒」になっていました。
シャー・サフィー(在位1629〜42年)は、たばこの全面禁止を宣言しましたが、収入が入るため、まもなく取り消しました。器具そのものの発祥がインドかペルシアかは、定説がありません。この点はウォーターパイプの項にまとめています。
Iran Visitor は、ガリヤーンはイランの大衆文化の一部で、年配の人より若い人が吸う姿を多く見る、と紹介しています。庶民的な茶店や伝統的なレストランでは、席や敷物の上で、デーツ、お菓子、お茶と一緒に出されます。茶店の呼び名は、カフヴェハーネの項にあります。
イランでは、山歩きやピクニックにも持っていく人が多く、とくに若い男性に多い、と紹介されています。バーベキューの炭を取って、鶏肉のケバブの昼食のあとにみんなで吸う人もいる、とも紹介されています。
よくあるフレーバーは、ミント(ナアナア)、2つのリンゴ(ドゥーシーブ)、オレンジ(ポルトガル)です。昔ながらの吸い方は、香りのないたばこです。バザールで今も売られていて、乾いた茶色の葉を折りたたんだもので、吸う前に水に浸します。いまは、香りつきのほうが人気です。
ドイツの販売店のブログは、イランの水パイプの特徴として、たばこを詰める部分がかなり大きく、管が細いことを挙げています(ブログ)。
Iran Visitor は、水を入れるガラスの水差しがあり、茎が、炭とたばこを載せる部分につながっている、と説明しています。ホースは水面より上についていて、吸い口から息を吸うと、空気が炭のそばを通ってたばこを温めます。
名前では、ペルシア語にガリヤーンと並ぶ同義語として nârgile があります。ナルギレの項で扱っています。
ガリヤーンとは何ですか?
イランで水パイプを指す言葉です。日本語のシーシャ、英語のフーカーとほぼ同じ器具のことです。ペルシア語では قلیان と書きます。
ガリヤーンとシーシャはどう違いますか?
同じ器具を、地域ごとの言葉で言っているだけです。ガリヤーンはイラン、シーシャは主に北アフリカ(エジプトなど)の呼び名として整理されています。
ガリヤーンの語源は?
アラビア語の ġalyūn(喫煙用のパイプ)が元だという説明と、「沸く」の意味の語が元だという説明があります。
ガリヤーンはいつから吸われていますか?
文献では16世紀の詩に語が出てきますが、器具としての証拠は1560年代以降です。17世紀のアッバース2世の時代には、広く吸われていたと説明されています。
ガリヤーンとカリヤンは同じですか?
同じ言葉です。ペルシア語の قلیان が、ロシア語に入って кальян になりました。日本語ではカリヤンと書きます。
- Wiktionary「قلیان」(ペルシア語の語源・別形・子孫の言葉)
- Iran Visitor「Ghaliyan Hookah Pipe - Iranian Culture」(イランでの吸われ方)
- Wikipedia(英語)「Hookah」(ペルシア語形の語源、イランでの歴史)
- Wikipedia(日本語)「水タバコ」(ガリヤーンの語源と起源の諸説)
- Wikipedia(ロシア語)「Кальян」(語源の説明)
- dschinni-shisha「The water pipe – one product with many names」(イランの器具の特徴)
- CLOUD「「Shisha」と「Hookah」はどちらがメジャーな呼び方なのか」(ガリヤーンの地域)