20歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。シーシャは適度に楽しみましょう。
標本カード

三次喫煙

さんじきつえんThirdhand Smoke

規制・制度シーシャ本館標本番号: thirdhand-smoking
定義

三次喫煙は、たばこの火が消えたあとも、壁・家具・衣類・ほこりに残った成分に触れたり吸い込んだりすることです。人への害について、2016年の資料は疫学調査が見当たらないとし、2020年の資料は人への有害性は立証されていないとしています。米国の研究者は、害が起こりうると考える強い論拠があると見ています。

結論から言うと?

三次喫煙は、火が消えたあとの部屋に残ったたばこの成分に、触れたり吸い込んだりすることです。壁、家具、衣類、ほこりなどに残ります。

気になるのは、体への影響がどこまで分かっているかでしょう。厚生労働省の「たばこ白書」(2016年)は、三次喫煙による健康影響を示す疫学調査は見当たらない、と書いています(厚生労働省)。国立保健医療科学院の2020年の論文も、人への有害性は立証されていない、としています(国立保健医療科学院)。

いっぽう、米国の研究者らは2016年に、害が起こりうると考える強い論拠はある、と述べています。ただし、二次喫煙と混ざるため、三次喫煙だけの害を分けて測るのは難しいと、研究者らは書いています。害が出るしきい値も決まっていません(Northrupら)。

2017年の小児医療向けの手引きは、三次喫煙への曝露は有害だと科学的知見が示している、という書き方です(Drehmerら)。

残った成分があることは、複数の研究で確かめられています。それが人の病気につながるかは、資料によって書き方がちがいます。

そもそも、どんな言葉?

三次喫煙は、英語で thirdhand smoke(サードハンド・スモーク)といいます。東京都健康安全研究センターによると、この言葉が初めて報告されたのは2009年です(東京都健康安全研究センター)。

二次喫煙(受動喫煙)は、空気中のたばこの煙にさらされることです(二次喫煙)。三次喫煙で問題になるのは、そのあと表面やほこりに付いて残ったものです。米国の研究者らは、三次喫煙を、吸ったあとに表面やほこりに残るたばこ煙の汚染物質と説明しています(Mattら)。

吸う本人が煙を吸う一次喫煙とあわせて、一次、二次、三次と並べる資料があります(一次喫煙)。ただし、資料によって位置づけが少しちがうのが実情です。東京都の報告は、三次喫煙を受動喫煙の一つと書いています。たばこ白書と国立保健医療科学院の論文は、受動喫煙とは別の項目です。

法律での言い方も見ておきます。健康増進法は、受動喫煙を「人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされること」と定めています(第28条第3号)。三次喫煙という言葉は、この法律には出てきません。

何が、どう残るの?

東京都の報告は、三次喫煙の特徴を「4つのR」で説明しています。残留、反応、再放散、再浮遊です。たばこ関連の物質が部屋に残り、空気中の成分と反応し、また空気に戻り、舞い上がる、という意味です。

残りやすさから見ます。ニコチンは、調べられた成分のなかで、室内の表面にもっとも付きやすい、というのが研究者らの説明です。吸うのをやめた後も、表面が「隠れた貯蔵庫」になって、長く空気中へ出続けるおそれがあります。

反応も起きます。表面に付いたニコチンが、空気中の亜硝酸などと反応すると、たばこ特異的ニトロソアミン(TSNA)ができます。NNKやNNNがその仲間で、発がん性があるとされる物質です。NNAという種類は、できたての煙には含まれず、このときにできます(Mattら)。たばこ白書にも、壁などに吸着したニコチンが二次反応でニトロソアミンをつくる、と書かれています。

再放散については、東京都が以前、副流煙を吸わせた布から、ホルムアルデヒドやベンゼンなど多くの有害物質が出ると報告しています。2019年の実験では、煙を吸わせた直後ほど、また温度が高いほど、出る物質の数も濃度も増えました。ただし、この実験は各条件1回の測定です。

もう一つ、東京都の報告は「接触による移動」を調べています。煙を吸わせた布と、きれいな布を重ねて置くと、10分の接触でニコチンが、1時間でNNKが、きれいな布から見つかりました。接触が長いほど濃度は上がりました。研究者らは、三次喫煙が接触で移る可能性が示唆された、と述べています。布を使った基礎実験の段階です。

換気や掃除で消える?

たばこ白書は、三次喫煙の問題点を、換気では解消できないことだとしています。有害な化学物質がいったん壁やほこりに吸着するためです。

掃除でも簡単には消えません。米国の研究者らは、喫煙者が引っ越して家を掃除したあとも、数週間から数か月は残っていたと整理しています。拭いたり掃除機をかけたりすると、粒子が舞い上がって、ニコチンも落としきれないおそれがあります(Northrupら)。

国立保健医療科学院の論文は、喫煙できた場所を禁煙に変えるだけでは、残った煙の影響を完全に除くのは困難だとしています。

体への影響は、どこまで分かっている?

人を調べた研究で分かっているのは、体に取り込まれた形跡です。喫煙者が住んでいた家に入った非喫煙者は、手のニコチンも、尿中のコチニン(ニコチンが体内で変化したもの)も高めでした(Mattら)。

細胞や動物の実験では、DNAの損傷や、肺の発達の変化などが見つかっています。ただし、これは仕組みの手がかりです。人の病気として確かめられたわけではありません(Northrupら)。マウスで、代謝の異常や、肺の炎症の指標、落ち着きのなさ(多動)が出たという報告もあります(Drehmerら)。

二次喫煙とは、証拠の強さがちがいます。厚生労働省は、二次喫煙と肺がん・虚血性心疾患・脳卒中・乳幼児突然死症候群との因果関係は明らかだとまとめています。三次喫煙を、同じ強さで「害がある」と言い切ることはできません。

子どもについては、国立保健医療科学院も米国の手引きも慎重です。国立保健医療科学院は、感受性の高い乳幼児や幼児期の子どもへの影響に注意が必要だとしています。床で過ごし、手を口に運ぶので、二次喫煙にくらべて三次喫煙の割合が高い可能性がある、という指摘もあります。

シーシャでも同じことが起きる?

東京都の実験は、点火したたばこの副流煙を布や壁紙に吸わせたもので、水たばこの煙は使っていません。水たばこの煙を使って壁への残り方を調べた結果は、この東京都の実験からは分かりません。

水たばこの煙にも、TSNA、多環芳香族炭化水素、アルデヒド類、重金属などが含まれます。WHO FCTC事務局の2014年の文書がそう説明しています(FCTC/COP/6/11)。

日本の法律では、屋内で喫煙できる「喫煙目的室」を設けるとき、室内がたばこの煙の流出を防ぐ技術的基準に合っている必要があります(厚生労働省)。この基準が見ているのは、煙の流出です。くわしくは受動喫煙防止法と喫煙目的施設をどうぞ。

自分で気をつけられることは?

小児医療向けの手引き(2017年)は、三次喫煙から家族を守る方法は、家庭の喫煙者が完全にやめることだけだ、という考え方を示しています。別の部屋で吸うことも、扇風機で煙を散らすことも、窓を開けることも、三次喫煙は防げない、と書いています(Drehmerら)。

よくある質問

三次喫煙とは何ですか?

たばこの火が消えたあとも、壁、家具、衣類、ほこりに残った成分に触れたり吸い込んだりすることです。英語では thirdhand smoke といいます。

二次喫煙とは何がちがいますか?

二次喫煙は、空気中に漂う煙を吸うことです。三次喫煙は、表面やほこりに付いて残ったものが相手です。健康への害は、二次喫煙のほうがはっきり確かめられています。

三次喫煙で病気になると証明されていますか?

国内の資料は、証明はないとしています。2016年のたばこ白書は疫学調査が見当たらないと書き、2020年の国立保健医療科学院の論文は人への有害性は立証されていない、との立場です。米国の研究者は、害が起こりうると考える強い論拠があると見ています。

換気すれば三次喫煙はなくなりますか?

なくなりません。たばこ白書は、成分が壁やほこりに吸着するため、換気では解消できないとしています。

シーシャ店の壁にも残りますか?

東京都の実験は点火したたばこの副流煙を使ったもので、水たばこの煙は使っていません。水たばこの煙を使って壁への残り方を調べた結果は、この東京都の実験からは分かりません。水たばこの煙にも、TSNA、多環芳香族炭化水素、アルデヒド類、重金属などが含まれる、とWHO FCTC事務局の2014年の文書は説明しています。

この語に関連するサイト内のページです。

この語が出てくる記事
採集記録(出典)

← 用語辞典に戻る