二次喫煙(受動喫煙)
にじきつえんSecondhand Smoking (Passive Smoking)
二次喫煙は、他人のたばこの煙を周りの人が吸い込んでしまうことです。法律や厚生労働省は「受動喫煙」と呼びます。CDCの “secondhand smoke” にあたります。WHOとCDCは安全なレベルはないと説明し、厚生労働省は紙巻たばこの受動喫煙について、肺がんや心臓病、脳卒中との因果関係が明らかとしています。
二次喫煙は、他人のたばこの煙を吸い込んでしまうことです。厚生労働省は「受動喫煙」と呼びます。法律は「人が他人の喫煙によりたばこから発生した煙にさらされること」と決めています(健康増進法第28条第3号)。
体への害は、はっきり確かめられています。WHOもCDC(米国疾病予防管理センター)も、安全なレベルはないと説明しています(WHO、CDC)。厚生労働省は、紙巻たばこの受動喫煙について、肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群との因果関係が明らかだとまとめています(厚生労働省)。
シーシャ店の空気の汚れ具合は測られています。ただ、ここで紹介する研究は空気を測ったもので、居合わせた人がどんな病気になるかを調べたものではありません。測定では、米国やカナダの店内で、粒子状物質(PM2.5)と一酸化炭素の濃度が高く出ました。
「水を通すから周りにも安全」という考えに対し、CDCは、水は煙の有害な成分をろ過しない、と説明しています(CDC)。
吸わない人が吸い込む煙は、2つあります。副流煙は、火のついた先から立ちのぼる煙です。呼出煙は、吸った人が吐き出す煙です。たばこ白書は、受動喫煙の原因になる環境たばこ煙を、副流煙に呼出煙を合わせたものと説明しています(厚生労働省)。
法律は「望まない受動喫煙」という言い方をします。施設の管理者らは、望まない受動喫煙が生じないよう、連携して協力する努力義務を負います(健康増進法第26条)。
水たばこでは、煙の出どころが紙巻たばことちがいます。CDCは、水たばこの二次喫煙の煙には、たばこの煙に加えて、熱源の煙が含まれると説明しています。熱源は、たとえば炭です(CDC)。
紙巻たばこの副流煙に入っている化学物質は、主流煙とほぼ同じです。たばこ白書によると、量は主流煙より副流煙のほうが多く、ホルムアルデヒドやベンゼンなど発がん性のあるものも含まれます。
副流煙は出た直後から空気で薄まるため、吸う本人より有害性は低いと考えられる、とたばこ白書は書いています。ただし、受動喫煙の影響は環境で大きく変わります。狭い車内では、曝露量が多くなる、との予測です。
水たばこについては、WHO FCTC事務局の2014年の文書があります。水たばこは大量の煙を出し、吸う人にも吸わない人にも健康リスクがある、と書いています。炭を使うため一酸化炭素が高く、小さな粒子が多く出て、国際的な大気の基準を大きく超える、とも説明しています(FCTC/COP/6/11)。
たばこ白書は、受動喫煙との因果関係を「科学的証拠は因果関係を推定するのに十分」と判定しています。成人では肺がん、虚血性心疾患、脳卒中です。子どもでは喘息の既往と乳幼児突然死症候群です。煙を吸った直後の影響としては、臭気や不快感、鼻の刺激感が挙げられています(厚生労働省)。
日本人のデータもあります。国立がん研究センターは2016年、日本人の非喫煙者を調べた研究を合わせて解析しました。受動喫煙のある人は、ない人より肺がんのリスクが約1.3倍でした。評価は「ほぼ確実」から「確実」に上がりました(国立がん研究センター)。
子どもについては、体が成長の途中なので影響を受けやすい、とCDCが説明しています。乳幼児突然死症候群のほか、肺炎や気管支炎、中耳炎、喘息の悪化、肺の発育の遅れが挙げられています。短い時間でも深刻な害が出うる、とも書いています(CDC)。
死亡数の推計もあります。日本では、受動喫煙で年間約1万5千人が亡くなると推計されています。内訳は肺がん、虚血性心疾患、脳卒中で、2014年の死亡データにもとづく数字です(厚生労働省)。世界では年に160万人以上が亡くなると、WHOは説明しています(WHO)。
国際的な考え方では、防ぎきれません。たばこ白書は、WHOのたばこ規制枠組条約の原則を紹介しています。100%禁煙以外の措置は不完全で、換気や喫煙区域の使用も同じ、という内容です。
空気清浄機にも限りがあります。たばこ白書によると、喫煙室の空気清浄機は、ガス成分を除去できないと書かれた製品が多い状況です。そのため、喫煙室を掃除する人は副流煙にさらされます。
CDCも、集合住宅では煙が廊下や階段、換気のしくみを通って他の部屋に流れ込む、と説明しています。吸わない人を完全に守るのは、屋内をすべて禁煙にする法律や方針だけだと書いています(CDC)。
まず、CDCです。水たばこの煙の化学物質は、吸わない人にとって健康リスクになりうる、と説明しています(CDC)。
店内の空気は、米国で測られています。ボルティモアの水たばこ店7軒を、混雑する夜に2〜5時間ずつ測った研究です。PM2.5の平均は712 µg/m³、一酸化炭素の平均は18 ppmでした。どちらも、紙巻たばこを吸える酒場で報告された値を上回りました。空気中のニコチンは、紙巻を吸える店より低く、禁煙の店よりはっきり高い結果でした(Torreyら)。
論文が引くアメリカEPAの24時間基準(35 µg/m³)やWHOの指針値(25 µg/m³)は、PM2.5の平均が大きく上回っています。著者らは、店の従業員と客の曝露が増えるとし、従業員を守る対策を考えるべきだと書いています。
トロントの研究も同じ向きです。屋内12軒の平均は、PM2.5が1419 µg/m³、一酸化炭素が17.7 ppmでした。稼働中の水たばこが増えるほど、数字は上がりました。屋外のテラスは、PM2.5が80.5 µg/m³、一酸化炭素が0.5 ppmと低く出ました。著者らは、屋内の濃度は健康に有害なレベルと結論づけています(Zhangら)。
日本では、東京都が一酸化炭素を試験しました。約10平方メートルの閉め切った部屋で水たばこを1台使うと、50cm離れた位置で、濃度は約300ppmまで上がりました。換気のない室内では、吸う人だけでなく、周りの人にも一酸化炭素中毒の危険があると、東京都は呼びかけています。炭の種類は、発表に書かれていません(東京都)。
東京都のアンケート(都内の20歳以上の喫煙等経験者1,000人)もあります。水たばこの喫煙者と同じ空間にいた人の22.2%が、具合が悪くなる、ふらついてケガをする、高温部分で火傷をする、などを経験していました(東京都)。ヒヤリ・ハットを含む数字です。喫煙者は36.2%でした。
店内の煙で、居合わせた人がどんな病気になるかを調べたものではありません。換気の条件は店ごとにちがい、調べた店の数も少ないので、数字はおおまかな目安として読んでください。論文の著者らも、短い測定時間と少ない店数、換気を直接は測っていないことを、限界として書いています。
改正健康増進法は、施設の区分ごとに、喫煙してはいけない場所を決めています。喫煙目的施設では、喫煙目的室以外の屋内が禁止です(第29条)。シーシャの店の位置づけは、受動喫煙防止法と喫煙目的施設にまとめています。
喫煙エリアには、20歳未満は立ち入れません。喫煙を目的としない場合や、従業員でも同じです(厚生労働省)。東京都には、独自の受動喫煙防止条例もあります。
具合が悪くなったら、すぐ吸うのをやめて、外の空気を吸います。東京都は、体調に異変を感じたらただちに使用を中止し、換気扇や窓、扉で空気を入れ替えるよう呼びかけています。一酸化炭素は無色・無臭で、具合が悪くなるまで気づきにくいためです(東京都)。
子どもが煙にさらされるのは、避けたいところです。子どもの体は影響を受けやすい、とCDCは説明しています。シーシャを吸う喫煙エリアには、20歳未満は入れません。子どもを連れて行く場所ではありません。
お店の換気は、店ごとにちがいます。気になる人は、席に着く前に、換気の仕方を店に聞いてかまいません。
二次喫煙と受動喫煙はちがう?
このページでは、二次喫煙を受動喫煙と同じ意味の言葉として扱います。法律や厚生労働省が使う言葉は「受動喫煙」で、他人の喫煙で出た煙にさらされることを指します。
少しの時間なら、受動喫煙しても大丈夫ですか?
WHOとCDCは、安全なレベルはないと説明しています。CDCは、短い時間でも深刻な健康問題が起こりうると書いています。
シーシャは紙巻たばこより受動喫煙が少ない?
そうとは言えません。米国の店で測った研究では、PM2.5と一酸化炭素は、紙巻を吸える酒場より高く出ました。空気中のニコチンは、紙巻を吸える店より低めでした。
換気すれば、受動喫煙は防げますか?
防ぎきれません。たばこ白書は、100%禁煙以外の措置は不完全で、換気も同じと紹介しています。シーシャでは、一酸化炭素に気づきにくい点にも注意が要ります。
日本では受動喫煙で年に何人が亡くなる?
年間約1万5千人と推計されています。肺がん、虚血性心疾患、脳卒中による死亡で、2014年のデータにもとづく数字です。
この語に関連するサイト内のページです。
- シーシャの受動喫煙 吸わない同席者への影響2026-10-25
- シーシャ店の換気の見分け方 入って5分で見る6点2026-10-25
- e-Gov法令検索「健康増進法」第26条・第28条
- WHO「Tobacco」ファクトシート(受動喫煙による死亡・安全なレベルはない)
- 米国CDC「Secondhand Smoke」
- 米国CDC「Hookahs」(水たばこの二次喫煙・ろ過されないこと)
- 厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(たばこ白書・2016年)
- 厚生労働省 第8回受動喫煙対策専門委員会 資料4「たばこの健康影響に関する現時点の見解」(令和8年7月)
- 国立がん研究センター「受動喫煙と肺がんのリスク評価」(2016年8月31日発表)
- WHO FCTC 第6回締約国会議 文書 FCTC/COP/6/11「水パイプたばこ製品の規制と予防」(2014年)
- Torreyら「Waterpipe cafes in Baltimore, Maryland」(J Expo Sci Environ Epidemiol 2015年)
- Zhangら「'Enter at your own risk'」(Tobacco Control 2015年・PubMed)
- 東京都「水たばこ(シーシャ)は一酸化炭素中毒の危険あり!」(2025年3月19日)
- 厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙。」喫煙を主目的とする施設