3行要約
- お酒を飲んでシーシャを吸うと酔いが回りやすいかを、直接調べた研究は見つかっていません。実験で分かったのは、お酒を飲んだ状態だと一度に吸い込む量が増え、吸う時間が長くなったことです(42人、2020年)。
- ただ、体に入ったCOとニコチンの量には、お酒の有無で差が出ませんでした。
- 酔い、ニコクラ(ニコチンによるくらくら感)、一酸化炭素(CO)による不調は、症状が似ていて見分けにくいです。CDCは、酔っている人はCOの警告サインが出る前に命を落とすことがあると述べています。
お酒を飲んでから吸っても大丈夫?
「大丈夫」とも「危ない」とも決められる研究はありません。ただ、お酒を飲むと吸い方が深く長くなりやすい、という実験結果はあります。しかも酔っているときは、COによる体の異変に気づきにくくなります。
2020年の米国の実験(Leavensら)では、お酒も水たばこも日常的に楽しむ42人(21〜32歳)が実験室で水たばこを吸いました。日を変えて2回で、1回はお酒に見せかけた偽の飲み物、もう1回は実際のお酒を飲んでいます。どちらの飲み物かは、本人にも係の人にも知らされていません。
| 項目 | お酒を飲んだ日 | 偽の飲み物の日 |
|---|---|---|
| 1回に吸い込む量・勢い | 増えた | 基準 |
| 吸っていた時間 | 長くなった | 基準 |
| 吸った体験の評価、吸いたい気持ち | 高かった | 基準 |
| 体に入ったCO・ニコチンの量 | 吸う前より上がったが、偽の日と差はなかった | 吸う前より上がった |
お酒を飲むとシーシャがおいしく感じられて、つい長く吸いやすい。そういう方向の結果です。研究者は、水たばこのラウンジで酒類の販売を制限する規制が必要かもしれないと述べています。
ただ、この実験が調べたのは、吸い方と体に入る量です。「同じ量を飲んでも、シーシャを吸うと酔いが強くなるか」は調べていません。各1回ずつで小規模という限界もあり、「酔いが早い」ことの証明とは読めません。
飲んだお酒の量は、呼気のアルコール濃度が「.08」で保たれるよう調整されました。「.08」は米国の表記で、血中濃度0.08%にあたります。e-ヘルスネットの換算(5倍)では、呼気で約0.4mg/Lです。日本の酒気帯びの基準(0.15mg/L以上)を上回る量です。
お酒を飲みながら吸うなら、どうする?
実験では、お酒を飲むと吸い方が深く長くなりました。時間を決めて切り上げるのが現実的だと、編集部は考えています。
CLOUDは、吸いながら水分をとることと、軽く食べてから吸うことを、不調を避ける方法として挙げています。ただ、水分や空腹の効果を測った研究は見つかっていません。
ふらつきや吐き気、頭痛が出たら、吸うのをやめてください。つらいときは医療機関に相談してください。
もうひとつ、お酒をシーシャのボトルに入れる飲み方があります。ボトルアルコールは、ボトルに張る水の代わりにウォッカなどのアルコールを加える有料オプションで、用意しているかどうかは店によって違います。煙に乗って入るアルコールの量や、酔いへの影響を測った研究は、確かめられていません。
ニコチンとアルコールは、体の中でどう影響し合う?
分かっているのは「お互いに、もっとほしくなる」方向の結果です。「酔いが強まる」という結果ではありません。
2013年の米国の実験(Oliverら)では、87人が低用量のお酒(1〜2杯分)とニコチン入りの紙巻きたばこを組み合わせて試しました。両方そろうと、吸いたい気持ちが全体で高まっています。気分への影響は、お酒とニコチンで別々に出ていて、強め合ってはいませんでした。
これは紙巻きたばこの実験で、酔いの強さを調べたものではありません。ニコチンがアルコールの代謝にどう関わるかも、ここで挙げた研究では分かっていません。
酔い・ニコクラ・CO中毒は、見分けられる?
自分で見分けるのは難しいです。ふらつきや気分の悪さは、どれでも起こりうるからです。
お酒は、飲む量が増えると足元がふらつき、吐き気や嘔吐が出ることがあります(e-ヘルスネット)。短時間に吸いすぎて起こるくらくら感は、ニコクラと呼ばれます。炭を使うシーシャでは、換気の悪さなどで一酸化炭素が増えることがあります。
CDCは、COの代表的な症状を頭痛、めまい、脱力、胃の不快感、嘔吐、胸の痛み、混乱としています。風邪に似ていることが多いとも説明しています。炭のやけど・火災・COは別の記事で整理しました。ニコクラになったときの動き方は、ニコクラの対処の記事にまとめています。
CDCはまた、眠っている人や酔っている人は、症状が出る前にCO中毒で命を落とすことがある、と述べています。お酒を飲んでいるときほど「ただの酔いだろう」と決めつけず、早めに動くことが大切です。つらいとき、意識がぼんやりするとき、胸が痛いとき、吐き気が続くときは、医療機関や救急に連絡してください。
妊娠中・持病・薬を飲んでいる人は?
妊娠中の人は、たばこもお酒も使わないよう、米国産婦人科学会(ACOG)が説明しています。妊娠中や喘息などの持病がある場合に、分かっていることと分かっていないことは、妊娠中・喘息・持病でシーシャは?にまとめています。
持病がある人や薬を飲んでいる人が、お酒とシーシャを重ねた場合の影響は、研究で分かっていません。シーシャを「避けるべき」とも「問題ない」とも言えないので、かかりつけの医師や産婦人科に相談したいところです。伝えておくと話が早いのは、お酒を飲む予定があること、炭を使うこと、換気の状態、飲んでいる薬です。これは医学的な助言ではありません。
帰りの運転は、どう考える?
お酒を飲んだなら、運転しないでください。お酒を飲んでいなくても、めまいや吐き気があるときは、回復するまで運転しないでください。
道路交通法では、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上で酒気帯び運転になります。運転者だけでなく、車を貸した人、お酒を出した人、同乗者にも罰則があります(警視庁のページ、2026年10月31日確認)。
日本の店では、お酒とシーシャは一緒に出る?
国内では、お酒を出すかどうかは店によって違います。来店前にメニューやルールを確認するとよいです。20歳未満は入店できません。身分証や例外の話は、何歳から?身分証は必要?にまとめています。初めて行く人は、はじめて行くときのガイドと健康の基本ガイドも読んでほしいです。
この先、何が分かれば変わる?
水たばことお酒の併用を実験で直接調べた報告は、2020年のこの研究が中心です。追試や、酔いの強さを測った研究は見つかっていません。そうした研究が出れば、この記事の「分かっていない」部分は変わる可能性があります。血圧や心拍への影響は、別の記事にまとめました。
この記事は医学的助言を目的としたものではなく、診断・治療の代わりにはなりません。


