3行要約

  • 炭でいちばん気をつけたいのは一酸化炭素(CO)です。東京都の試験では、閉じた部屋で約300ppmまで上がりました。東京都は、1〜2時間で頭痛や吐き気がしてくる濃度としています。
  • 燃えている炭と、それに触れている部分は非常に高温です。触ればやけどをしますし、台が倒れて炭が落ちれば火災のおそれもあります。やけどをした客の事例も出ています。
  • 電気で温めるシーシャは炭の心配を減らしますが、「炭より安全」と言える段階ではありません。この記事は、お店で吸う場合の話です。

20歳未満は入店できません。身分証や例外の話は何歳から?身分証は必要?にまとめています。

まず気をつけたいのは何?

一酸化炭素(CO)です。炭やたばこ葉が燃えると出る、色もにおいもない気体で、具合が悪くなるまで気づきにくいのがやっかいです。消費者庁は、シーシャは吸う時間が1時間前後と長く、COによる中毒に注意が必要だとしています。

東京都は2025年3月に、試験の結果を公表しました。約10平方メートルの閉じた空間でシーシャを1台使い、50cm離れた位置で測ったところ、COは約300ppm(空気100万個のうちCOが300個という濃さ)まで上がっています。60分後に扉を開けると、大きく下がりました。東京都は、約300ppmを1〜2時間で頭痛や吐き気がしてくる濃度としています。ホースから直接取った煙は10,000ppm以上でした。同じ調査で、COの危険性を「知らない」と答えた人は、回答者1,000人の68.8%です。

空気中のCO濃度 吸い続けたときに出るとされる症状 出典
約300ppm 1〜2時間で頭痛や吐き気 東京都(2025年3月、閉じた部屋の試験)
0.04%(400ppm) 1〜2時間で前頭部の頭痛や吐き気、2.5〜3.5時間で後頭部の頭痛 CLOUDが紹介する経済産業省の表
0.16%(1,600ppm) 20分で頭痛・めまい・吐き気、2時間で死亡 同上

表の濃度は空気中のもので、血液中の濃度とは別の指標です。経済産業省の表は、CLOUDの記事を通して確認し、一部を抜粋しています。

CLOUDは、中毒の原因として、炭が完全に焚けていないこと、休憩なく吸いすぎること、換気が悪いことの3つを挙げています。

実際の事例もあります。消費者庁のメールマガジンに載っているのは、20歳代の人の話です。シーシャバーで吸って店を出たあと、息苦しさを感じながら電車に乗り、降りたあと、立っていることができなくなり、意識を失いました。診断は一酸化炭素中毒でした。

対策として東京都が呼びかけているのは、換気扇が回っているか、扉や窓が開けられるかを見ること。そして、異変を感じたらすぐ中止することです。同席した人が倒れたときも同じで、東京都は周りにいる人にもCO中毒の危険があると注意しています。意識がぼんやりしている、呼びかけに反応しにくい、息苦しい、胸が痛いといった様子なら、一人にせず外の空気のところへ移して、119に連絡してください。CDCはCOを、突然の体調不良や死につながりうる気体と説明しています。

頭痛・吐き気・ふらつきは、ニコチンの吸いすぎでも出ます。見分け方はニコチンで気持ち悪い「ニコクラ」の記事に、お酒を飲んでいるときの注意はお酒との組み合わせの記事に書きました。数字の全体像はシーシャの健康リスクを科学的に整理する、用語は一酸化炭素を見てください。

炭でやけどや火災は起きる?

起きうるものです。燃えている炭は高温で、東京都は「炭自体や炭と接触している部分は非常に高温」と注意しています。炭を扱うのは店員さんですが、客が熱い部分に触れてしまう場面はありえます。

消費者庁には、カフェバーで出された水たばこの熱くなる部分に触れて、やけどをした20歳代の事例(「熱くなる説明はなかった」)があります。東京都の調査では、「具合が悪くなった」「ふらついてケガ」「高温部分で火傷」などを経験した人(ヒヤリ・ハットを含む)が、喫煙者の36.2%、同じ空間にいた人の22.2%でした。ただし、体調不良とケガがまとめて数えられていて、やけどだけの割合は分かりません。

火災については、東京都が、本体がぐらついたり倒れたりして燃えている炭が落ちると、火災になるおそれがあると注意しています。全国の件数を示す公的な統計は、見つかっていません。

場面 起きうること 客側でできること
熱い部分に触れる やけど 触る前に店員に聞く
台が倒れる・ぐらつく 炭が落ちて火災のおそれ 台の周りに荷物を置かない、ホースを引っ張らない
炭が燃える部屋の空気 一酸化炭素中毒 換気を確かめる、具合が悪ければ中止して外へ

炭が落ちたとき、客がどう動けばいいかを定めた公的な手順は、見つかっていません。自分で拾わずに、まず店員さんを呼ぶのが無理のない対応でしょう。席を動くときは、ホースが足や荷物に引っかからないか見ておきたいところです。やけどの症状が強いときは、医療機関へ行ってください。

消防の決まりは、炭と関係ある?

東京の火災予防条例は、一定規模の飲食店などで、裸火や固体燃料を使う火気を制限しています。ただ、東京消防庁の解説にシーシャの名前は出てきません。店ごとの扱いは、各消防署に相談することだとされています(用語辞典)。客が調べる必要はなく、お店の火の管理を見るときの目安にとどまります。

電気で温めれば、炭の心配はなくなる?

炭の落下とCOは減りますが、「炭より安全」と言える段階ではありません。実験の数字や3種類の違いは電子シーシャと炭のシーシャの比較に、国内の製品の動きは電子シーシャ・加熱式デバイスの台頭にまとめています。

お店でどこを見ればいい?

入店して目で見て分かる点を挙げます。満たしていれば安全、という基準ではありません。

  • 換気扇が回っているか、扉や窓で空気が動くか(東京都の呼びかけ)
  • 熱い部分や炭の扱いを、店員さんが説明してくれるか(消費者庁の呼びかけ)
  • 台が安定していて、足元にホースが這っていないか
  • CO警報機や消火器の置き場所が分かるか(出典のある基準ではありませんが、確かめて損はありません)

妊娠中や持病がある人は?

炭のCOは、妊娠中の人や持病のある人にとって、特に気になる点です。行く前に主治医へ、「炭を燃やす店で、煙を吸う可能性がある」ことと換気の状態を伝えておきましょう。妊娠中や喘息などの持病がある場合に、分かっていることと分かっていないことは、妊娠中・喘息・持病でシーシャは?にまとめています。同席する場合は同席者の記事です。気分が悪くなったら、無理せず中止して外の空気を吸ってください。初めての人ははじめてのシーシャバーガイドも読んでみてください。

この先、何が変わりそう?

国内の注意喚起は、2025年の東京都の調査と試験を軸に、COを中心に進んできました。電気加熱と炭の比較は、米国で2028年4月までの研究が続いています。結果が出れば、炭と電気の差を、もっと数字で言えるようになるでしょう。

本記事は医療上の助言ではありません。妊娠中の人や持病のある人は、行く前に主治医に相談してください。