3行要約
- 電子シーシャと普通のシーシャの違いの核は、煙のもとを温める熱源です。炭ではなく電気で温めます。ただし同じ名前で、たばこ葉を電気で温める型と、リキッドを蒸気にする型(ポケットシーシャなど)の2系統が売られています。
- たばこ葉を電気で温める型の実験では、一酸化炭素は炭式より少なくなりました。一方でニコチンの取り込みは変わらず、たばこ葉が焦げたという指摘もあります。「炭より安全」と言える段階ではありません。
- 日本の法律では、たばこ葉を使う型は製造たばこにあたると読めます。葉を使わないリキッド型は個別の判断で、公的な見解は公表されていません。店で会ったら、何を温めているか、ニコチンの有無、炭の有無を聞いてみてください。
電子シーシャは、炭を使う従来のシーシャとは別の器具です。新製品の動きや店への影響は電子シーシャ・加熱式デバイスの台頭に、ニコチンの心血管への影響の研究は電子シーシャのニコチン、心血管に急性負荷に書いています。この記事では、炭のシーシャとの違いを3種類に分けて、初めての人向けに整理します。
20歳未満は、吸うことも店に入ることもできません(法律と年齢のガイド)。妊娠中の人について、米国産婦人科学会(ACOG)は、妊娠中のたばこ使用を避けるよう説明しています。電気加熱やリキッド式なら大丈夫と示した研究はありません。持病がある人も含めて、行くかどうかは主治医に相談してください。その際は「たばこ葉を使うか、ニコチンは入っているか、炭は使うか」を伝えると、話が早く進みます(妊娠・持病の記事)。
電子シーシャと普通のシーシャは、何が違う?
違いの中心は熱源です。普通のシーシャは燃やした炭で、電子シーシャは電気のヒーターで、煙のもとを温めます。用語は電子シーシャの項目にもあります。ただ、「電子シーシャ」という言葉は、実は3つの別の物に使われています。
| タイプ | 温めるもの | 熱源 | 国内の法律上の扱い(後述) |
|---|---|---|---|
| ① 普通のシーシャ | たばこ葉に糖蜜などを混ぜたフレーバー | 燃やした炭 | 製造たばこ |
| ② 電気加熱式(専用機、電気ヘッド) | ①と同じ、たばこ葉のフレーバー | 電気ヒーター | たばこ葉を使うので、条文の上では製造たばこにあたると読める |
| ③ リキッド式(ポケットシーシャなど) | 液体(リキッド) | 電気で蒸気にする | たばこ葉を使わなければ製造たばこの定義の外。ただし代用品とみなす条文があり、製品ごとの個別の判断。公的な見解は公表されていない |
②は「炭だけを電気に替えた」もので、ボウルに葉を詰める作業は同じです。③は電子タバコ(VAPE)に近く、携帯型の小さな本体が多くなっています。研究で「電子水パイプ(electronic waterpipe)」と呼ばれるのは、水パイプにリキッドを入れて電気で蒸気にする、この③の型です。②と③は、煙の中身も体への入り方も別だと考えたほうがいいでしょう。国内の製品の動きは電子シーシャ・加熱式デバイスの台頭にあります。
電子シーシャの店では、何を聞けばいい?
まず、何を温めているのかを聞いてみてください。たばこ葉なのか、リキッドなのかです。次にニコチンが入っているか。炭を使っているかどうかも聞きたいところで、使うなら換気とCO警報機があるかも確かめます。熱い部分と吸い方の説明をしてくれるかも、見ておくといいです。
炭を使わないから換気は不要、とは決められません。電気式でもたばこ葉を温めるなら、煙は出ます。具合が悪くなったら、炭式と同じように中止して外の空気を吸い、症状が強ければ医療機関へ行ってください(ニコチンで気分が悪くなる場合はニコクラの記事)。炭式の注意はシーシャの炭は危ない?に、ニコチンなしの店選びはノンニコチンのシーシャにあります。初めての人ははじめてのシーシャバーガイドもどうぞ。
一酸化炭素や有害物質は減る?
たばこ葉を電気で温める型(②)では、一酸化炭素(CO)は減ったという結果が出ています。ただ、すべてが減ったわけではありません。COは、炭を燃やすと出る無色・無臭の気体です。東京都の試験では、約10平方メートルの閉じた空間で炭式のシーシャを吸うと、約300ppm(空気100万個のうち300個がCO)まで上がりました。これは1〜2時間で頭痛や吐き気が出る濃度とされています。
| 研究 | 何をしたか | 炭式と比べた結果 |
|---|---|---|
| Toxicology Reports 2026 | 自宅に近い環境で、吸う人50人・吸わない人25人が炭式と電気加熱式を試した | 部屋のCO、吐く息のCO、心拍数は電気加熱のほうが低い。尿で調べたニコチンとピレン(たばこの煙に含まれる有害物質)の取り込みは、電気加熱でも炭式と差がなかった。吸わない人25人の値と比べると、ベンゼン(発がん性のある物質)だけは、電気加熱のほうが炭式より取り込みが少なかった |
| Tobacco Control 2020 | 機械で1銘柄を吸わせた | COは約8分の1、ピレンは約2分の1。一方でニコチンは約1.4倍。発がん性が疑われるフランという物質も約1.4倍 |
| Scientific Reports 2025 | 37種類の有害物質を、炭式と電気加熱式の専用機(OOKAという製品)の煙で測った | 電気加熱式のほうが低く、炭式にある物質の多くが出ていなかった。製造企業の資金による研究 |
| Nicotine & Tobacco Research 2025 | 水パイプにリキッドを入れて電気で蒸気にする型(電子水パイプ)10製品を測った | 刺激や発がん性が問題になるアセトアルデヒド、アクロレインが検出され、ごく小さな粒子も多かった。研究者は「有害性の懸念がある」としている |
「炭を使わないのでCOが少ない」という点は、複数の実験で一致しています。ただ、ニコチンの取り込みは減らなかったという結果があり、機種や温度で結果が変わります。人が何年も使った影響は、分かっていません。
味や煙の出方は変わる?
変わるという報告があります。機種や温度の影響も大きいです。2026年の米国の実験(シーシャを吸う50人)では、電気加熱を吸った人は、炭式より「魅力が少ない」「荒い」「のどが痛い」と答えました。その一方で、「健康的で清潔」とも答えています。研究者は、電気加熱の回のたばこ葉に焦げた跡があり、温めすぎている可能性があるとしています。
温め方の強さは、機種で違います。Tobacco Control 2020の機械実験では、電気ヘッドは炭の2.4倍の割合のたばこ葉を消費しました。別の研究(Tobacco Prevention & Cessation 2020)は、約1時間の機械喫煙で、ボウルのたばこ葉がどれだけ消費されたかを測っています。市販の電気ヒーター1機種は約21%で、炭の約31%より低く、研究用ヒーターを470℃にすると約56%に上がりました。同じ電気加熱でも、温度の設定しだいで結果が変わります。
日本の法律では、どう扱われる?
たばこ葉を使うなら、電気で温めても製造たばことして扱われると読めます。たばこ事業法第2条は、「製造たばこ」を「葉たばこを原料の全部又は一部とし、喫煙用、かみ用又はかぎ用に供し得る状態に製造されたもの」と定めています。炭か電気かは、条件に入っていないからです。ただし、電気加熱式のシーシャそのものについて扱いを示した財務省・国税庁の文書は、公表されているものが見当たりません。
③のリキッド式は、たばこ葉を使わなければ、この定義には当たりません。ただ、製造たばこ以外のもので喫煙用に供されるものを、製造たばこ代用品として製造たばことみなす第38条があります。リキッド式がこれに当たるかは、製品ごとの個別の判断で、公的な見解は公表されていません。
ニコチンについては、厚生労働省が2010年に、ニコチンを含む電子たばこのカートリッジは、霧にして吸う場合は医薬品にあたり、国内で承認を得た物はないと回答しています(当時の「薬事法」、現在は薬機法)。いまの店や製品がどうなっているかは表示でしか分からないので、ニコチンの有無は店に聞いてみてください。
なお、加熱式たばこ(IQOSなど)は、たばこ葉を燃やさず加熱する点で②に似ています。でも、専用のスティックを使う別の製品です(違いは紙巻き・加熱式との比較)。店の許認可の枠組みは、たばこ事業法とシーシャ店はなぜ営業できるのかにあります。
これから何が分かってくる?
電気加熱は、国内でも製品の発表が続く新しい選択肢です。分かっているのは、COが減る可能性と、ニコチンが残ること、機種で結果が変わることまでです。長く使った影響や店内の空気への影響は、調べられていません。テキサス大学アーリントン校の研究者は、電気加熱は炭より安全とうたわれるが実際のところは分かっていないとして、2028年4月までの研究を始めています(詳細)。リキッド式のニコチンと心血管の実験は別の記事にあります。血圧や心拍が気になる人は血圧・心拍数の記事も参考になります。
この記事は医学的助言ではなく、診断や治療の代わりにもなりません。


