たばこ事業法
たばこじぎょうほうTobacco Business Act
たばこ事業法は、たばこの製造・輸入・卸売・小売の事業を定める法律です。1984年(昭和59年)に公布され、1985年4月に施行されました。専売制度の廃止に合わせて作られた法律です。たばこの葉を使う水たばこ用フレーバーも製造たばこなので、輸入の登録、小売の許可、小売定価の認可の対象になります。
たばこ事業法は、たばこを作る・輸入する・売る「事業者」向けの法律です。たばこの葉を使う水たばこ用フレーバーも対象で、売る側には「登録・許可・定価の認可」という3つの関門があります。吸える年齢や場所を決める法律ではありません。
- 店を開きたい人 → たばこ小売販売業許可
- 何歳から吸えるかを知りたい人 → 喫煙年齢制限
- どこで吸えるかを知りたい人 → 受動喫煙防止法(改正健康増進法)
実用上は、「くわしく知りたい人向け」の手前まで読めば十分です。条文の番号、制定の経緯、税の区分の根拠は、その後ろにまとめています。
- たばこ事業法の正式名称は「たばこ事業法」(昭和59年法律第68号)です。たばこの葉の生産から、製品の製造・輸入・卸売・小売までを、国のルールのもとに置く法律で、所管は財務省です。
- 製造たばこは、葉たばこを原料の全部または一部として、喫煙用・かみ用・かぎ用にできる状態に作ったものです(第2条第3号)。水たばこ用のフレーバーも、たばこの葉を使っていればここに入ります。
- 条文にある「会社」は、日本たばこ産業(JT)のことです。製造たばこを作れるのは、この会社だけと決められています(第8条)。
- 特定販売業者は、自分で輸入した製造たばこを売る事業者で、財務大臣の登録を受けた者のことです(第11条)。海外のフレーバーを国内に入れる輸入元は、この立場です(特定販売業者)。
- 小売販売業者は、消費者に製造たばこを売る事業者です。営業所ごとに財務大臣の許可を受けた者のことです(第22条)。
事業法の条文に、「水たばこ」や「シーシャ」という言葉は出てきません。それでも対象になるのは、原料がたばこの葉であれば、水パイプで吸うものも「喫煙用の製造たばこ」だからです(第2条第3号)。
税の上では、水たばこ用フレーバーは「パイプたばこ」の区分に入ります。根拠の条文と通達は、「くわしく知りたい人向け」の節にあります。
フレーバーが店頭に届くまでに、売る側は3つの関門を通ります。条文を読むときは、「どの段階の話か」を先に見ると迷いません。金額と期間は財務省の案内ページ(2026年10月25日に確認)によるものです。改正されることがあります。
- ① 輸入して売る人の登録(第11条): 自分で輸入した製造たばこを、業として売ろうとする人は、財務大臣の登録を受けます。申請先は、事務所の所在地を管轄する税関長です。財務省の案内では、手数料はかからないものの登録免許税15万円がかかります。審査の基準は第13条(罰金刑を受けて2年たっていない人などは拒否)とされています。登録なしに売ると、第48条の罰則の対象です。→ 特定販売業者
- ② 小売の許可(第22条): 消費者に売る人は、営業所ごとに財務大臣の許可が必要です。財務省の案内では、申請は予定営業所の最寄りのJT支社に出します。標準処理期間は、受理した月の末日から2か月以内とされています。許可に際して、登録免許税1万5千円がかかるとされています。営業所の位置などの審査基準は、第23条と省令で決まっています。無許可で小売を業とすると、第49条の罰則です。→ たばこ小売販売業許可
- ③ 小売定価の認可(第33〜37条): 品目ごとに1つの定価を決め、輸入する時までに財務大臣の認可を受けます。小売側は、認可された定価でしか売れません。認可のない製造たばこも売れません。→ 小売定価、認可フレーバー
この3つは別々の手続きです。登録を受けていても、定価の認可がなければ、その品目は売れません。小売の許可も、営業所ごと・品目ごとの認可とは別の話です。手続きの最新の様式や窓口は、財務省の案内(特定販売業の登録、小売販売業の許可)で確かめられます。
- 「JTしかたばこを売れない」は誤解です。 JTだけに限られているのは製造です(第8条)。販売は、登録や許可を受ければ、JT以外の事業者もできます。
- 「事業法の罰則は、吸う人に向けたもの」ではありません。 罰則があるのは、事業を行う側です。製造する人、登録や許可なく売る人、定価を守らずに売る人などが対象です(第47〜49条)。
- 「事業法が年齢や喫煙場所を決めている」わけではありません。 年齢を決めるのは20歳未満の喫煙を禁じる法律で、場所を決めるのは健康増進法や自治体の条例です(法制度ガイド)。
- 「JTは完全な民間企業」でも「国営」でもありません。 株式会社ですが、政府は株式の3分の1を超える分を保有する決まりです(日本たばこ産業株式会社法第2条)。
- 「小売の許可があれば、どんなフレーバーでも売れる」は違います。 許可・登録・定価の認可は別々の関門です。認可を受けた定価がない品目は、小売できません(第36条第2項)。
- 国内で正規に流通している製品は、この法律の関門を通っています。 輸入元の登録、販売店の許可、品目ごとの定価の認可がそろって、はじめて店頭に並びます。
- 定価と注意表示は、事業法が決めています。 全国どこでも箱・缶の定価が同じなのは、第36条によります。箱に健康への注意書きがあるのは、第39条によります。
- 認可済みの銘柄の数: シーシャデックスが掲載している認可済みの銘柄は3,228件です。サイトを更新した時点の件数です。認可の根拠は、財務省が公表している「製造たばこ小売定価の認可」です。
- ルールのどの層の話かを見分けましょう。 「売れるか」は事業法、「何歳から吸えるか」は20歳未満喫煙禁止法、「どこで吸えるか」は健康増進法・条例の話です。
- 条文は改正されます。 気になる箇所は、e-Govで最新の文面を確かめてください。
ここまで読めば、基本は足ります。 ここから先は、条文の番号・金額・経緯・根拠など、くわしい話です。
この法律の目的は、e-Gov法令検索の第1条に書いてあります。たばこ専売制度の廃止にあたり、たばこにかかる税が国の財政収入で大きな位置を占めていることをふまえます。この法律が目指すのは、日本のたばこ産業の健全な発展です。そのために、国産の葉たばこの生産・買い入れと、製造たばこの製造・販売の事業を調整します。最終的には、財政収入の安定的な確保と、国民経済の健全な発展に役立てる、という流れです。
目的に書かれているのは、産業の秩序と税収です。喫煙できる場所や年齢を決める法律ではありません。年齢は20歳未満の喫煙を禁じる法律が、場所は健康増進法や条例が決めています。事業法は、それらとは別の層にあります。
日本のたばこは、明治37年(1904年)以降、国が製造と販売を握る専売制度のもとにありました。戦後の昭和24年(1949年)には、日本専売公社が発足します。昭和60年(1985年)4月に日本たばこ産業株式会社が発足し、同時に専売制度は終わりました(たばこと塩の博物館)。
その切り替えのために作られたのが、この法律です。昭和59年(1984年)8月10日に公布され、昭和60年(1985年)4月1日に施行されました。同じ日に、旧来のたばこ専売法と製造たばこ定価法は廃止されています。根拠は附則第1条・第2条です。
会社の側は、同じ時に公布された日本たばこ産業株式会社法の担当です。同法第2条第1項は、政府が会社の株式の3分の1を超える分を常に持っていなければならないと定めています。そのため、完全に民間だけの会社とは違います。
ただし、自由な市場に完全に切り替えたわけではありません。製造はJTに限られたままです(第8条)。小売の許可にも「当分の間」という但し書きが、今も付いています(第22条第1項)。
全体は7つの章からできています。水たばこに関わるのは、おもに第4章と第5章です。
- 第1章 総則(第1〜2条)は、目的と、製造たばこなどの定義です。
- 第2〜3章 葉たばこの生産・買入れ、製造(第3〜10条)では、JT以外は製造できないと第8条が定めています。違反は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(第47条)。
- 第4章 製造たばこの販売(第11〜32条)には、輸入して売る人の登録(第11条)、卸売の登録(第20条)、小売の許可(第22条)があります。
- 第5章 小売定価(第33〜37条)は、品目ごとの定価の認可と、定価で売る義務を決めています。
- 第6章 雑則(第38〜46条)には、製造たばこ代用品の扱い(第38条)、健康への注意表示(第39条)、広告(第40条)などが入っています。
- 第7章 罰則(第47〜52条)では、無登録での販売が50万円以下の罰金です(第48条)。無許可での小売や定価違反は、30万円以下の罰金です(第49条)。
罰則にある「拘禁刑」は、この法律の「懲役」が改められたものです。2025年6月1日に施行された刑法の改正にあわせたもので、令和4年法律第68号によります。e-Gov法令検索の改正履歴で確認できます。
商品の流れで見てみましょう。国内でJTが作る製品は、JTから卸売・小売へ流れます。海外の製品を輸入するのは、登録を受けた特定販売業者で、そこから卸売・小売へ渡ります。どちらの場合も、最後に消費者へ売るのは、許可を受けた小売販売業者で、売値は認可された定価です。国のルールは、この流れの各段階に、登録・許可・認可という入口を置いています。
ここから先は、事業法ではなく税の話です。製造たばこの種類を分けているのは、たばこ税法です。第2条第2項は、喫煙用を紙巻たばこ・葉巻たばこ・パイプたばこ・刻みたばこ・加熱式たばこの5つに分けています(たばこ税法)。国税庁の通達は、パイプたばこを「紙巻たばこ、葉巻たばこ、刻みたばこ及び加熱式たばこ以外の製造たばこを含む」ものと説明しています(国税庁 たばこ税法基本通達 第3条)。
加熱式たばこの側は、「水パイプで喫煙するための製造たばこ」を除くと明記されています(国税庁 たばこ税手持品課税関係Q&A)。この除外があるため、水たばこは加熱式ではなく、残りの区分であるパイプたばこに入ります。
この区分は、価格の認可にも課税にもつながります。財務省の小売定価の一覧では、水たばこ用のフレーバーはパイプたばこの区分に並びます。税の計算では、重さを紙巻たばこの本数に換算し、パイプたばこは1gで1本として扱います(財務省 たばこ税等に関する資料)。それぞれの説明は、パイプたばことたばこ税の項目に分けてあります。
- 注意表示(第39条)は、JTと特定販売業者に、財務省令で定める製造たばこについて、販売する時までに、健康との関係について注意を促す文言を製品に表示することを求めています。卸や小売が、その文言を消したり変えたりして売ることも禁じられています(たばこ注意表示)。
- 広告(第40条)は、広告を行う人に、20歳未満の喫煙防止と健康への配慮に努め、過度にならないようにすることを求めています。財務大臣は指針を示し、従わない場合は勧告や公表ができます。
- 製造たばこ代用品(第38条)は、たばこの葉を使っていなくても、喫煙用に供される物(麻薬・あへん・医薬品・医薬部外品を除く)を、製造たばことみなして、この法律を適用する決まりです。たばこの葉を使わないフレーバー(ニコチンフリーをうたう製品など)が、この規定に当たるかどうかは、製品ごとに財務省や税関の窓口で確認します。
- 法令の動きは規制ウォッチで追えます。
- 輸入にまつわる仕組みは、未認可フレーバーの解説と個人輸入にあります。
- フレーバーの定価を比べるなら、円/gランキングが便利です。
- 条文そのものは、e-Gov法令検索で読めます。
たばこ事業法とは何ですか?
たばこの葉の生産から、製造・輸入・卸売・小売までを定めた法律です。専売制度の廃止に合わせて1984年(昭和59年)8月に公布され、1985年4月に施行されました。目的は、たばこ産業の健全な発展と、財政収入の安定的な確保です(第1条)。
シーシャ(水たばこ)もたばこ事業法の対象ですか?
はい。たばこの葉を原料にした水たばこ用フレーバーは、喫煙用の製造たばこなので、対象です。税の区分では、加熱式たばこから水パイプ用が除かれているため、パイプたばこに入ります。たばこの葉を使わない製品も、製造たばこ代用品として同じ扱いになる場合があります(第38条)。
たばこ事業法は、何歳から吸えるかを決めていますか?
決めていません。年齢を決めているのは、20歳未満の者の喫煙の禁止に関する法律です。事業法が扱うのは、製造・輸入・販売の事業や定価で、店で吸える場所は健康増進法や条例が決めています。
JT以外の会社は、たばこを扱えないのですか?
製造はJTに限られます(第8条)。ただし、海外の製品を輸入して売る事業者は、財務大臣の登録を受ければ販売できます(第11条)。卸売の登録(第20条)と小売の許可(第22条)は、別に必要です。
たばこ事業法に違反すると、どうなりますか?
罰則があるのは、事業を行う側です。JT以外が製造すると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(第47条)。条文の「懲役」は、2025年6月1日の刑法改正で改められました。登録なしの輸入販売は50万円以下の罰金です(第48条)。無許可の小売や定価違反は、30万円以下の罰金です(第49条)。小売の許可は、取消しや1か月以内の営業停止になることもあります(第31条)。
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