たばこ小売販売業許可
たばここうりはんばいぎょうきょかTobacco Retail License
たばこ小売販売業許可は、製造たばこを消費者に売る事業をするために、営業所ごとに財務大臣から受ける許可です。根拠は、たばこ事業法第22条です。水たばこ用フレーバーも、対象に入ります。許可なく売ると、30万円以下の罰金の対象です。距離や販売見込みの基準があります。店で吸ってもらうだけの場合にこの許可が要るかどうかは、管轄の財務局に確認します。
たばこ小売販売業許可は、たばこを消費者に売るための許可で、営業所ごとに必要です。店で吸ってもらうだけの場合に要るかどうかは、管轄の財務局に確認が要ります。
- 許可は店ごとです。2店目を出すなら、2店目の分をあらためて取ります。
- 許可を受けたら、1か月以内に営業を始めます。始めないと、許可の取り消しなどの対象になります(第31条第7号)。
- 審査の期間は足し算ではありません。申請を受理した月の末日が起点で、JTは1か月以内、財務局は2か月以内が目安です。同じ起点から数えるので、合計3か月ではありません(取扱要領)。
- 飲食店の中で開く場合は、距離基準を「満たしているもの」とみなす区分(特定小売販売業)があります。ただし、通路に面した売場は別です。
下の「くわしく知りたい人向け」の見出しの手前まで読めば、開業の入口としては足ります。距離基準の表や審査の細目は、その後ろにあります。
シーシャ店の開業では、似た名前の許可がいくつも出てきます。先に整理しておきます。
- 小売販売は、たばこ事業法では「消費者に対する販売」のことです(第22条)。これを仕事として行うには、許可がいります。
- 製造たばこは、葉たばこを原料の全部または一部にして、喫煙用・かみ用・かぎ用に使える状態に作られたものです(第2条第3号)。水たばこ用のフレーバーも、この枠の中で扱われます。
- たばこ小売販売業許可は、営業所(たばこを売る場所)ごとに、財務大臣から受ける許可です。このページの主題です。
- 出張販売許可は、すでに小売販売業の許可を持つ人が、その営業所とは別の場所で売るための許可です(第26条)。小売販売業許可の代わりにはならず、その上に重ねる許可です。
- 小売定価の認可は、許可とは別の話です。許可は「売る店」に出るもの、認可は「銘柄ごとの値段」に出るものです(認可フレーバー)。
- 卸売販売業の登録は、フレーバーを仕入れる側の制度で、小売の許可とは別です。
許可は営業所ごとに必要です。2店舗目を出すなら、2店舗目の分をあらためて取ります。営業所を移転するときも、移転先で別に許可を受けます(第25条)。近畿財務局のFAQでは、許可の売買は認められないと案内されています。
申請は、予定営業所の最寄りにある日本たばこ産業(JT)の支社に出します。相談窓口は、予定営業所を管轄する財務(支)局です(財務省の案内)。申請の手数料はかかりません。許可が出たら、登録免許税として15,000円を払います。登録免許税は、許可を受けたことに課される国の税金です。
期間の数え方は、取扱要領(令和5年6月1日改正)の第1章 第三に書かれています。2つの期間は、申請書を受理した日の属する月の末日から数えます。JTが現地調査の結果を財務局へ出すまでが1か月以内、財務局が処分をして申請者に通知するまでが2か月以内、というのが目安です。足して3か月になるわけではありません。月の途中で受理された場合は、その月の残りの日数に加えて、月末から2か月が目安です。書類の不備を直す期間などは、この期間に含まれません。
許可が出たあとにも、決まりがあります。許可から1か月以内に営業を始めないと、許可の取り消しなどの対象になります。営業を1か月を超えて休むときも同様です(第31条第7号)。病気療養や改築などの正当な理由がある場合は除かれます。許可を取ったあとに内装工事が長引く、という順番は避けたいところです。
許可を受けた人の氏名・営業所の所在地・環境区分は、財務局のウェブサイトに1年間公告されます。環境区分が何かは、このあとの節に出てきます。
飲食店の中で開業する人に、いちばん関係する区分です。取扱要領は、閉鎖性があり、人が長く留まる施設の中の場所で行う小売販売業を、「特定小売販売業」と呼んでいます。施設は、劇場・旅館・飲食店・駅・事務所などです。それ以外は「一般小売販売業」です。ただし、施設の中でも、一般の人が通行する通路に面している場所は、特定小売販売業から除かれます。
特定小売販売業だと、距離と取扱高の基準、許可の条件が変わります。
- 距離基準は、満たしているものとみなされます。既存のたばこ販売店との距離を、審査で測りません。
- 取扱高基準は、月間3万本になります。見込みは、施設の1か月平均の利用者数に、業態ごとの「1人1日あたりの平均購入本数」をかけて出します。要領の表には、レストラン・食堂等が5.5本、喫茶店等が6.0本と載っています。新規開店の施設では、似た業態の既存店の販売実績を使う特例もあります。
- 許可には条件がつきます。たばこの売場を施設の内側に向けて設け、看板などを施設の外に出さないこと、施設内に喫煙設備を設けることです。飲食店などの施設内で行う出張販売の許可にも、同じ条件が付きます。
不許可になるときの理由にも、「特定小売販売業の要件である滞留性・閉鎖性がない」という書き方が用意されています。同じ飲食店の中でも、通路に面した売場は一般小売販売業になり、距離基準の対象です。自分の予定営業所がどちらに当たるかは、場所と売場の作りで決まります。申請前に財務局かJTで確かめましょう。
2つの許可は、「誰が申請するか」と「何を許可するか」がちがいます。公的資料から読み取れる範囲で、項目ごとに見比べてみます。
- 根拠の条文は、小売販売業許可が第22条、出張販売許可が第26条です。
- 出張販売許可を申請できるのは、現に小売販売業を営んでいる人だけです。小売販売業許可のほうは、予定営業所を使う権利のある人が申請します。近畿財務局のFAQも、小売販売業許可を取得したあとに出張販売の申請が必要と答えています。
- 許可の単位は、小売販売業許可が「営業所」ごと、出張販売許可が営業所以外の場所ごとです。対象は、飲食店などの閉鎖性があり人が滞留する施設内、観光施設内、海水浴場や祭礼など一時的に人が集まる場所のいずれかです。小売業を営むための店舗は、出張販売の場所になりません(取扱要領)。
- 登録免許税は、小売販売業許可なら15,000円、出張販売許可なら3,000円かかります。
- どちらも、標準処理期間は申請書を受理した月の末日から2か月以内です。
- 提出する書類も、ちがいます。小売販売業許可では、使用する権利を示す書類(賃貸借契約書の写しなど)、図面、誓約書などです。出張販売許可では、場所を示す図面と、場所が自分のものでないときは販売できることを示す書類(管理者の同意書など)です。業務委託で販売するときは、その内容を明らかにする書類を必要に応じて添えます。
- 距離基準があるのは、小売販売業許可のほうです。飲食店の中の特定小売販売業は、満たしているものとみなされます。出張販売許可は、財務省の出張販売のページにも取扱要領の出張販売の基準にも、距離の定めは見当たりません。
つまり、小売販売業許可は、自分の営業所で売る人の許可です。出張販売許可は、すでに小売販売業の許可を持つ人が、別の場所で売るための許可です。資料を読むときは、どちらの許可の話か、許可の名義人は誰かを分けて確かめてください。
開業を考えるときに一番引っかかるのは、「うちは缶を売るのではなく、店で吸ってもらうだけ。それでも許可が要るのか」という疑問です。公的資料で分かる範囲を見てみます。
法律上の小売販売は「消費者に対する販売」です。これを許可なく仕事として行うと、30万円以下の罰金の対象です(第22条、第49条)。店内で喫煙できる店の枠組みに、喫煙目的施設があります。そのうちバー・スナック等の類型は、要件が決まっています。「たばこを販売する者によって、対面によりたばこを販売し、…屋内の場所において喫煙をする場所を提供すること」を主な目的とすることです。根拠は、健康増進法施行令第4条第2号です。厚生労働省のページは、この対面販売に出張販売を含むと書いています。つまり、この類型で営業する店は、たばこ販売の許可(出張販売を含む)が前提になります。
いっぽう、お客さんに席で吸ってもらうサービスは、たばこ事業法の「小売販売」のどの場面に当たるのか。この細部は、公的資料には示されていません。そのときの小売定価の扱いも、同じく示されていません。小売定価のページにあるとおり、お店のシーシャ代は、缶の定価とは別のものです。営業の形が決まったら、予定営業所を管轄する財務局に、その形で相談しておくと確実です。
許可の対象は「製造たばこ」です。水たばこ用フレーバーについては、近畿財務局のFAQが「葉巻や水たばこの販売には小売販売業許可が必要」と答えています。税の区分では、紙巻たばこや加熱式たばこと並ぶパイプたばこに入ります。
許可があれば何でも売れるわけではありません。小売定価の認可がない銘柄は、売ってはいけません(第36条第2項)。認可のある銘柄も、認可された定価で売ることが求められます。店は営業所に定価を掲示します(第36条・第37条)。国内で正規に扱えるのは、認可済みのフレーバーです。定価は小売定価と、円/gランキングで見られます。
たばこ葉を使わない製品については、法第38条が「製造たばこ代用品」を定めています。製造たばこ以外の物で、喫煙用に使われるものは、製造たばことみなして同じ法律を適用する、という規定です。麻薬、あへん、医薬品、医薬部外品などは除かれます。ハーブ系などと呼ばれる個々の製品がこれに当たるかどうかは、製品ごとの判断になります。扱う予定があるなら、先に財務局へ相談してください。
- 「出張販売なら許可なしで売れる」は、まちがいです。出張販売にも許可が要ります。無許可なら、第49条第6号で30万円以下の罰金の対象です。
- 「距離基準はどの店にもかかる」わけではありません。飲食店の中の特定小売販売業では、距離基準を満たしているものとみなされます。ただし、通路に面した売場などは別です。
- 「許可があれば喫煙できる店になれる」は、別の話です。許可はたばこ事業法の手続きで、喫煙目的施設は健康増進法の手続きです。換気の基準や標識なども、別に満たします。
- 許可は人から買えるし貸せる、というのも誤解です。許可の売買は認められないとされています。
- 「許可が出れば、すぐ開業できる」とは限りません。許可後1か月以内に営業を始める必要があり、取得までの審査もかかります。
- 物件を決める前に、財務局へ相談しておきましょう。予定営業所の使用権が許可の前提で、位置が不適当なら不許可になります。契約後に判明すると、費用が無駄になります。
- 日程は逆算してください。標準処理期間は、受理した月の末日から2か月以内が目安です。JTの1か月と財務局の2か月は、同じ起点から数える別々の目安で、足し算ではありません。月の途中で受理されれば、その月の残りの日数も加わります。申請の準備と、許可後1か月以内の営業開始も見込んでおきます。
- 費用の一部は、公的に決まっています。登録免許税は小売15,000円、出張3,000円で、申請の手数料は無料です。残りの費用や相場の目安は、シーシャ店開業の要点整理で扱っています。
- ほかの許可との組み合わせも考えます。喫煙目的施設の要件は、なぜシーシャ店は営業できるのかで解説しています。
- 最新の基準は、原本で確認してください。距離の表や取扱高は、告示や取扱要領の改正で変わりえます。
ここまで読めば、基本は足ります。 ここから先は、条文の番号・金額・経緯・根拠など、くわしい話です。
たばこ事業法第23条は、許可をしないことができる場合を定めています。たとえば、こういう場合です。
- 申請者の事情が理由になることがあります。この法律で罰金以上の刑を受けて2年を過ぎていない、許可を取り消されて2年を過ぎていない、破産手続開始の決定を受けて復権していない、などです。法人なら代表者も対象です。
- 予定営業所を使う権利がない場合は、賃貸借契約書の写し、または所有者の同意書を出します。契約書の用途が住居用や倉庫用のときは、同意書が必要です。
- 位置が不適当とされる例は、たばこを買うのに著しく不便な袋小路の奥などです。このあと説明する距離基準を満たさない場合も、これに入ります。
- 取扱予定高が基準に届かないのは、月間の販売見込みが基準に達しないときのことです。
距離基準は、予定営業所の出入口から、最寄りの既存の営業所までの距離です。道路に沿って測り、最短のものを採用します。基準の距離は25〜300メートルの範囲で、財務大臣が告示で定めています(施行規則第20条、取扱要領)。取扱要領の表は、次の節に載せています。
数字は、地域区分と環境区分の組み合わせで決まります。地域区分は、指定都市・市制施行地・町村制施行地のいずれかです。環境区分は、繁華街・市街地・住宅地のいずれかで、繁華街と住宅地は、それぞれAとBに分かれています。環境区分は、財務局が認定します。
- 指定都市では、繁華街(A)が25m、繁華街(B)が50m、市街地が100m、住宅地(A)が200m、住宅地(B)が300mです。
- 市制施行地では、繁華街(A)が50m、繁華街(B)が100m、市街地が150m、住宅地(A)が200m、住宅地(B)が300mになります。
- 町村制施行地には繁華街の区分がなく、市街地が150m、住宅地(A)が200m、住宅地(B)が300mです。
例外もあります。沖縄県は、距離基準と取扱高基準を満たしているものとして扱う決まりです。距離の測定からは、既存の営業所が長く休んでいる「休業店」などが外れます。身体障害者福祉法などに当てはまる申請者は、基準が8割になる特例の対象です。細かい取り扱いは、取扱要領の原文で確認してください。
もうひとつの取扱高基準は、原則として月間4万本です(施行規則第21条)。「本」は、たばこの数量を数える単位です。一般の小売店では、予定営業所を中心とする半径500メートル以内で、既存の店より近い範囲を見ます。この範囲を供給見込区域といい、その世帯数に、1世帯あたり月400本をかけて見込みを出します。
表と本数の出典。 距離の表は、取扱要領(令和5年6月1日改正)第2章 第一 1⑵②イにあります。取扱高の基準は同1⑶と3⑴、特定小売販売業の定義は第1章 第一 8、施行規則は第20条・第21条です。最新の基準は原本で確認してください。
たばこ小売販売業許可とは何ですか?
たばこ事業法第22条にもとづく許可です。製造たばこを消費者に売る事業をする人が、営業所ごとに財務大臣から受けます。水たばこ用フレーバーを売る場合も必要です。申請は予定営業所の最寄りのJT支社に出します。
出張販売許可は、小売販売業許可がなくても取れますか?
取れません。出張販売許可を申請できるのは、現に小売販売業を営んでいる人です。近畿財務局のFAQにも、小売販売業許可の取得後に出張販売の申請が必要とあります。
距離基準は何メートルですか?
予定営業所の地域区分と環境区分で、25〜300メートルの範囲で決まります。たとえば指定都市の繁華街(A)は25m、住宅地(B)は300mです。飲食店の中の特定小売販売業では、距離基準は満たしているものとみなされます(取扱要領)。
費用と期間はどのくらいですか?
申請の手数料はかかりません。許可を受けると登録免許税がかかり、小売販売業許可で15,000円、出張販売許可で3,000円です。標準処理期間は、申請書を受理した月の末日から2か月以内です(財務省)。
許可なしでたばこを売るとどうなりますか?
たばこ事業法第49条により、30万円以下の罰金の対象です。出張販売の許可を受けずに営業所以外で売った場合も、同じく罰金の対象です。
店で吸ってもらうだけでも許可は要りますか?
法律上の小売販売は「消費者に対する販売」です。店内で喫煙できる店の枠組みである喫煙目的施設は、対面でのたばこ販売を要件にしています。個々の営業の形がどう当てはまるかは、公的資料では示されていません。管轄の財務局に相談してください。
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