3行要約

  • 紙巻きたばこ・加熱式たばこ・シーシャは、どれもたばこ葉を使います。違いは、葉の温め方(燃やす・電気で加熱・炭で温める)と、煙を水にくぐらせるかどうかです。
  • CDCによれば、1時間のシーシャ1回で吸う煙の量は約90,000ml(90リットル)、紙巻き1本は約500〜600mlです。ただ、これは吸い込む煙の量で、有害さの比ではありません。どれが安全かを決められる比較は、まだ足りていません。
  • 日本の税法では、シーシャは加熱式とは別の「パイプたばこ」の枠に入る位置づけです。

シーシャのしくみそのものはシーシャとは何かに書いています。この記事では、紙巻きたばこ・加熱式たばこと比べて何が違うのかを、初めての人向けに整理します。

20歳未満は、シーシャを吸うことも店に入ることもできません(法律と年齢のガイド)。

妊娠中の人については、米国産婦人科学会(ACOG)が、妊娠中にたばこを吸っている人は気づいた時点でやめるよう説明しています。ただし、これは紙巻きたばこを中心にした説明で、水たばこや加熱式が名指しされているわけではありません。

持病がある人も含めて、判断は主治医に相談してください。受診のときは、使っている製品(紙巻き・加熱式・シーシャ)と回数を伝えましょう。シーシャなら、炭を使うことも伝えるとよいでしょう。

加熱式からシーシャに替えたら、軽くなる?

軽くなるとは言えません。厚生労働省のe-ヘルスネットは、加熱式が紙巻きに比べて健康影響が少ないかどうかは「まだ明らかになっていない」としています。一方のシーシャも、水を通せば煙が安全になるわけではなく(後述)、1回で吸う煙が紙巻き1本よりずっと多いと報告されています。加熱式とシーシャを直接比べて、どちらが軽いかを決められる研究は、見つかっていません。

紙巻き・加熱式とシーシャは、何が違う?

材料よりも、葉の温め方と煙の通り道が違います。3つとも、法律上は同じ「製造たばこ」の仲間です。

項目 紙巻きたばこ 加熱式たばこ シーシャ(水たばこ)
葉の扱い 巻いた葉に火をつけて燃やす 燃やさず、電気で加熱してエアロゾル(霧状の粒)にする 刻んだ葉をボウルに盛り、炭の熱で温める
煙の通り道 そのまま吸う そのまま吸う 水にくぐらせてからホースで吸う
税法上の区分 紙巻たばこ 加熱式たばこ(2018年10月に新設) パイプたばこの枠

国税庁は水パイプを、「たばこの煙を水にくぐらせることによって喫煙するための喫煙用具」と説明しています。水たばこの定義には「燃焼又は加熱」の両方が入っていて、法律も温め方を一つに決めていません。道具の構造はシーシャとは何かで説明しています。

なお、炭の代わりに電気でたばこ葉を温めるシーシャや、たばこ葉を使わずリキッドを蒸気にする型は、加熱式たばことも別の製品です。こちらは別の記事で整理しました。

シーシャの葉は、紙巻きの葉とどう違う?

シーシャ用の葉は、刻んだたばこ葉に糖蜜(モラセス)やグリセリン、香料を混ぜた、半ペースト状のものです。税関の関税率表は「水パイプたばこ」を「たばこ及びグリセリンの混合物から成るたばこ」と定義しています。糖蜜や砂糖を含むか、果実で香りを付けたかは問わないとしています。

甘い成分や炭が煙の有害性にどう関わるかについては、2024年の総説(Toxicological Sciences)が、規制に生かすには煙の中身のデータがもっと必要だと結論しています。「甘い成分が何をどれだけ増やすか」は、まだ十分には分かっていません。

1回に吸う煙の量は、紙巻きとどれくらい違う?

1回のシーシャで吸う煙は、紙巻き1本よりはるかに多いです。ただ、この数字は「吸い込む煙の量」であって、「何倍有害か」を表すものではありません。

比べたもの シーシャ1回 紙巻き1本 出典
吸う煙の量(約1時間の1回) 約90,000ml 約500〜600ml CDC
一酸化炭素 約9倍 1 CDC
ニコチン 約1.7倍 1 CDC
吸う煙の量(17件の研究の平均) 約74リットル(研究によって38〜110リットル) 約0.6リットル Public Health Reports 2016

煙の量の数字が3つ出てくるのは、測り方が違うからです。約90,000ml(90リットル)はCDCが示す約1時間のシーシャ1回の量で、約74リットルは17件の研究の平均です。研究によって38〜110リットルと幅があり、90リットルはこの幅の中に入ります。

紙巻き1本の約500〜600mlは、0.5〜0.6リットルのことです。別の実験では48.6リットルという値もあり、これも同じ幅の中に入ります(ニコチン量の記事)。

この論文は、ニコチン・タール・一酸化炭素もシーシャ1回のほうが高かったとまとめています。ただし比べているのは「1回のシーシャ」と「1本の紙巻き」で、同じ時間や同じニコチン量で並べたものではありません。1台を何人で回すか、どれだけ強く吸うかでも変わります。「1回の比較」から、1年・10年たったときの影響の大きさは言えません。

加熱式とシーシャは、同じ種類?

別の種類です。国税庁は加熱式たばこを、たばこを燃焼せず加熱して成分を吸引できる状態にした製造たばこと定めています。そして括弧書きで、「水パイプで喫煙するための製造たばこ」を除いています。加熱式はかつてパイプたばこに含まれていましたが、2018年度の税制改正で独立し、2018年10月1日に施行されました。

加熱式の健康影響について、e-ヘルスネットによると、ニコチン以外の有害化学物質の量は少なかったという報告があります。一方で、長期の影響は分かっていません。

健康面で、研究が示すことと示さないことは?

「たばこより有害物質が少ない」という説明を見かけることもあります。ただ、研究が示しているのは、水を通しても煙の有害性は消えない、ということです。CDCは「水たばこの水は煙をフィルターしない。水を通った後も煙には高いレベルの有害物質が含まれる」と書いています。

アメリカ心臓協会(AHA)の2019年の科学声明も、紙巻きの煙に含まれる有害物質の一部が水たばこの煙にもあり、紙巻きを上回る量のこともあると述べました。短期的には、心拍や血圧の調節、血管の働きへの影響を示す証拠が増えているそうです(血圧・心拍の記事)。

示していないこと、まだ分からないことも多くあります。

  • 紙巻き・加熱式・シーシャのどれが「より安全」かは、使う回数や吸い方が人によって違うため、一つの答えにまとまっていません。
  • たまにだけ水たばこを使う人の長期の影響は、AHAも今後の研究が大事だとしています。
  • 加熱式の長期の影響は、e-ヘルスネットのとおり明らかになっていません。

ニコチンの量を紙巻きの本数に直す話は別の記事に、妊娠中や持病のある人の場合はこの記事にまとめました。健康面の全体像はシーシャの健康リスクを科学的に整理するにあります。つらい症状があるときは、種類を問わず医療機関に相談してください。

日本の法律では、シーシャはどのたばこ扱い?

国内では、シーシャ用の葉に専用の区分はありません。たばこ税法基本通達の「パイプたばこ」に入る位置づけです。通達はパイプたばこを、紙巻・葉巻・刻み・加熱式以外の製造たばこを含むものと定めています(国税庁の通達と案内ページで2026年10月31日に確認)。

たばこ事業法第2条は、「製造たばこ」を「葉たばこを原料の全部又は一部とし、喫煙用、かみ用又はかぎ用に供し得る状態に製造されたもの」と定めています。これと合わせると、たばこ葉を使うシーシャは、炭でも電気でも、この製造たばこの枠で読めます。葉を使わないリキッド式などは別の話で、個別の判断になり、公的な見解は公表されていません。

シーシャは加熱式とは別の枠で、税の計算の仕方も別になります。加熱式の側の見直し(2026年4月から)の詳細は、加熱式たばこの課税方式が変わった件にあります。年齢の決まりなど、シーシャの法的な位置づけはこちらの記事にまとめました。

この先、日本のルールは変わる?

加熱式の区分が2018年に分かれてから、シーシャは「パイプたばこの枠」にとどまったままです。2026年7月には、厚労省の専門委員会が、加熱式について紙巻き並みの規制強化を見送る方向だと報じられました。共同通信の配信記事(徳島新聞、7月8日付)などです(詳しい記事)。区分や課税の見直しが話題になっても、シーシャが同じ枠に残るのか、動くのかは、国税庁と財務省の発表で確かめられます。

この記事は医学的助言ではなく、診断や治療の代わりにもなりません。