
モラセス
もらせすMolasses
モラセス(糖蜜)は、砂糖を作るとき、結晶を取り出したあとに残る、茶色で粘りのある液体です。シーシャのたばこは、刻んだ葉にこれとグリセリン、香料をなじませ、しっとりさせて作るのがふつうです。
モラセスは、日本語では糖蜜のことです。サトウキビやてん菜から砂糖を作るとき、結晶を取り出したあとに残る液体を指します。茶色で、どろりと粘りがあります。
シーシャでは、刻んだたばこ葉にこの糖蜜をなじませます。WHO(世界保健機関)によると、甘い香りのついた水たばこ用のたばこは、マアッスルと呼ばれます。マアッスルは、たばこ葉をモラセス、グリセリン、果実の香料と発酵させて作るのがふつうです。できあがるのは、水分をふくんだ、しなやかな混ぜものです。
モラセスは、この混ぜものの甘み役です。保湿剤のグリセリンは、別の材料です(グリセリン)。
砂糖づくりは、搾り汁を煮詰めて、結晶を取り出す作業のくり返しです。そのたびに、結晶にならなかった液が残ります。この残りが糖蜜です。サトウキビ100トンから、3〜7トンの糖蜜ができます(Feedipedia)。
どの段階の糖蜜かで、呼び名が変わります。最初の結晶を取ったあとの糖蜜が「A糖蜜」で、工場の最後に残るのが「C糖蜜」です。C糖蜜はブラックストラップ糖蜜とも呼ばれ、ショ糖が約32〜42%残っています。
国内の百科事典(マイペディア)は、糖蜜を、糖分を50〜70%も含む黒褐色の粘液と書いています。砂糖として回収しきれなくなった、最後の糖液だという説明もあります(世界大百科事典)。
糖蜜を取り除かずに残した砂糖もあります。農林水産省は、これを含蜜糖と呼び、黒糖を例に挙げています。
Toxicological Sciences 誌のレビュー論文によると、水たばこの中身は、刻んだたばこ葉と、最大で約70重量%の添加物です。保湿剤のグリセリンとプロピレングリコールだけで、最大70重量%に達する製品の報告もあります。ブドウ糖と果糖のような還元糖は、最大で34重量%を占めうるそうです。
このレビューは、材料の組み合わせも整理しています。香料のない甘いたばこ(マアッスル)は、たばこ葉に蜂蜜やモラセス、ほかの甘いシロップをしみこませたものです。香り付きのマアッスルは、そこに香料を足します。
大量生産の水たばこでは、価格を下げるために、保湿剤が、より高価なモラセスや蜂蜜の代わりに使われている可能性がある、と著者は述べています。製品の表示では、糖類や甘味料の量などが十分に開示されていない、とも述べています。
たばこ葉に糖類や保湿剤をなじませる工程は、ケーシングと呼ばれます(ケーシング)。サイバーチルの用語集は、糖蜜や蜂蜜、保湿剤などで、味と燃え方を整える工程と説明しています。
甘い香り付きの水たばこが最初に作られた日付は、わかっていません。WHOによると、中東では1990年代の初めにはすでに使われていました。
それ以前は、多くの人が、生のたばこ葉を使っていました。砕いたり、水と混ぜたり、絞ったり、型に押し固めたりしてから吸います。この方法では、強くてきつい煙になるのがふつうでした。マアッスルの煙は、なめらかで香りがよいと、WHOは対比しています。
WHOは、1990年代の初めの登場と、中東の水たばこ喫煙者の急な増加との間に、時期の重なりがあると指摘しています。世界のデータでは、水たばこを吸う人の大半、とくに若い人が、マアッスルを選んでいます。アメリカのノースカロライナ州の大学生3,447人の調査(2010年)では、水たばこの経験者の90%がマアッスルを吸っていました。
マアッスルという言葉は、アラビア語で「蜂蜜をふくんだ」(honeyed)を意味する語です(Wikipedia)。くわしくはマアッスルにまとめています。
水たばこのたばこは、炭の熱で温められます。レビュー論文は、水たばこが達する温度を約150℃としています。紙巻きたばこの燃えている部分は、約950℃です。
糖類は、加熱で分解します。レビュー論文は、この分解で、呼吸器に害のある物質ができると説明しています。カルボニル類、アルデヒド類、半揮発性のフラン類が、その例です。
紙巻きたばこの煙と比べた報告があります。HMF(5-ヒドロキシメチルフルフラール)は3,900倍、フルフラールは230倍高い値でした。どちらも、フラン類の仲間です。レビューの著者は、フラン類の吸入毒性のデータが少ないことを、「大きな空白」としています。
ただし、レビューが示すのは、水たばこ全体や糖類全体の話です。CDCは、甘味料と香料が、煙に含まれる有害物質に触れる危険を増やすおそれがあると説明しています。水を通しても、煙の有害物質は取り除かれません。
煙に含まれる成分の全体像は、タールの項にまとめています。
水たばこは、「おもに糖蜜と乾燥した果物でできている」と宣伝されることがあります。レビュー論文の著者は、いまの証拠はこの宣伝を支えないと述べています。
実際の中身は、たばこ葉と、最大で約70重量%の添加物です。たばこ葉にはニコチンがふくまれ、水たばこでもニコチンは体に入ります。CDCは、たばこを使うシーシャと、たばこ葉を使わない「ハーバル」の煙の両方に、一酸化炭素などの有害な物質がふくまれると説明しています。甘くて香り付きの、たばこを使わない商品も、「たばこより害が少ない」と宣伝されやすいそうです(ハーバルシーシャ)。
モラセスキャッチャーは、シロップ(モラセス)を受け止める部品です。国内の販売店の商品説明では、シャフトをシロップから守り、ボトルの中の水が濁らないようにする、とあります(モラセスキャッチャー)。
モラセスとは何ですか?
砂糖を作るとき、結晶を取り出したあとに残る、茶色で粘りのある液体(糖蜜)です。シーシャのたばこは、刻んだ葉にこれとグリセリン、香料をなじませて作るのがふつうです。
モラセスとマアッスルは同じものですか?
同じではありません。モラセスは材料のひとつです。マアッスルは、たばこ葉にモラセス、グリセリン、香料などをなじませてできた、水たばこ用のたばこそのものです。
モラセスは、たばこの中に何%入っていますか?
水たばこは、最大で約70重量%が添加物(保湿剤・糖類・香料など)だという報告があります。この割合はモラセスだけのものではありません。
ブラックストラップとは何ですか?
製糖工場の最後に残るC糖蜜のことです。ショ糖が約32〜42%残っています。
糖蜜が入っていると、煙は安全ですか?
CDCは、水たばこの煙は紙巻きたばこの煙と少なくとも同じくらい有毒だと説明しています。Toxicological Sciences誌のレビューは、糖類が加熱で分解し、呼吸器に害のある物質ができると説明しています。
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- WHO「Advisory note: waterpipe tobacco smoking(第2版)」2015(マアッスルの製法・登場の時期)
- Toxicological Sciences「Toxicity of waterpipe tobacco smoking: the role of flavors, sweeteners, humectants, and charcoal」(レビュー論文)
- 米国CDC「Hookahs」
- 米国FDA「Hookah Tobacco, Shisha, or Waterpipe Tobacco」(水たばこでもニコチンが体に入ること)
- Feedipedia「Sugarcane molasses」(製糖の副産物としての糖蜜・種類・成分)
- コトバンク「糖蜜」(デジタル大辞泉・日本国語大辞典・世界大百科事典・マイペディアなどの定義)
- 農林水産省「aff」2021年11月号(分蜜糖と含蜜糖の違い)
- Wikipedia英語版「Muʽassel」(語義・構成)
- サイバーチル「たばこ大辞典」(ケーシングの項)
- マルキヤシーシャ通販「BLADE HOOKAH SYRUP/MOLASSES CATCHER」