
マアッスル
まあっするMu'assel (Ma'assel)
マアッスルは、アラビア語で「蜂蜜入りの」を意味する語から来た、シーシャ用の刻みたばこのことです。糖蜜やグリセリンで湿らせ、香料で味をつけたものが一般的です。器具ではなく、中に詰めるたばこそのものを指します。
マアッスルは、シーシャのボウルに詰める刻みたばこのことです。アラビア語の「ムアッサル」から来た言葉で、英語では mu'assel や maassel と書きます。
たばこの葉に糖蜜やグリセリンを加え、香料で味をつけます。仕上がりは、しっとりした混ぜものです。香りは、果物や菓子、飲み物を思わせるものが幅広くそろっています(Shihadeh らの論文)。
WHOは、リンゴ、ブドウ、サクランボ、レモン、ココナッツ、バナナ、ミント、チョコレート、スイカなどの例を挙げています。香りがあって刺激が弱いため、いま最もよく使われている水たばこ用たばこだとも説明しています。
数字の一例もあります。2010年に、米国ノースカロライナ州の8大学で、学生3,447人への調査がありました。水たばこ経験者の90%が、香りつきのたばこを使っていました(Maziak らの論文)。
ムアッサルは、アラビア語で「蜂蜜入りの」という意味です。いっぽう、糖蜜とグリセリンと香料を使うという説明が、英語版Wikipediaや研究論文には並びます。甘みの元を蜂蜜と書くか糖蜜と書くかは、資料で分かれます。
WHOは、たばこ約3分の1に、蜂蜜と果実の香料が3分の2という配合を書いています。Shihadeh らの論文も、たばこ分は約3分の1で、残りの湿潤剤と香料がたばこを薄めると述べています。
日本語版Wikipediaには、順を追った整理があります。もともと中近東で吸われていたムアッサルは、葉を蜂蜜で固めたものでした。香りつきの葉は糖蜜などを使うので、その一種に分類される、という説明です。
呼び分けの例もあります。Kassem らの総説は、2つを区別しています。無香料で甘みだけをつけたものがマアッスル、香料も加えたものがフレーバーつきマアッスルです。どちらも、蜂蜜や糖蜜などの甘いシロップを染み込ませた葉です。
マアッスルが広まる前、水たばこを吸う人の多くは、生に近い葉を自分で仕込んでいました。葉をつぶし、水とまぜ、絞って、形を整えてから詰めます。こうして作った煙は、強くて荒かったそうです。マアッスルの煙は、なめらかで香りがよいと、Maziak らは対比しています。
Maziak らは、マアッスルの登場を、紙巻きたばこの大量生産を可能にした巻き上げ機の発明にたとえました。製品を工業化して売れる形にし、手に入りやすさと種類を増やしたからです。香りの種類で若い人を引きつけ、インターネットでの大規模な販促への道を開き、準備も簡単にしました。
昔ながらの無香料のたばこは、トンバクの項にあります。
詰めたあとの使い方も、無香料の葉とは違います。マアッスルは、炭の熱で煙を出します。炭との間には、穴をあけたアルミホイルを挟みます(フォイル)。WHOは、ホイルを挟むのがマアッスル、炭を葉に直接のせるのが無香料のアジャミという違いを説明しています。
Shihadeh らの論文によると、1回の利用で消費されるのは、たばこよりも炭のほうがずっと多い量です。
登場の年代は、資料で食い違います。
- 1980年代という説は、Chaouachi の2009年の総説にあります。強いジュラク(ニコチンが強いたばこ)より新しい、という位置づけです。
- 日本語版Wikipediaは、1989年にエジプトのナハラ社が考案したと書きます。最初のフレーバーはりんご味でした。きっかけは、アレキサンドリアの茶屋で、葉にジャムを混ぜた水たばこを出す店があると聞いたことだそうです。日労研編集部(2009)などが典拠です。
- Maziak らは、最初の製造をたどるのは難しいが、1990年代の初めにはすでに使われていた、と書きます。
- WHOは、1990年代初めの香りつきたばこの登場で、若い人の使用が一気に増えたと説明しています。
英語版Wikipediaは「20世紀初めのエジプト」と書いています。エジプトという場所は、英語版Wikipediaと Hookah.com に共通して出てきます。
シーシャという言葉は、器具のほかに、中で吸うたばこを指すことがあります。マアッスルも、器具ではなく、そのたばこの名前です。Wiktionary は、maassel を shisha の同義語としています。そのパイプで吸うたばこ、とくに糖蜜と香料を混ぜたものを指す、という説明です。
米国FDAは、水たばこ用たばこの別名に、maassel、shisha、narghile、argileh を挙げています。
言葉の範囲は、やがて広がりました。Hookah.com によると、ムアッサルはエジプトで、たばこに蜂蜜か糖蜜を混ぜたものの名前でした。のちに、レモンやミント、ブドウなどの香りをつけたシーシャ用たばこ全般の呼び名になったそうです。
吸いやすさと、体への負担は別の話です。CDCは、水たばこの煙には紙巻きたばこの煙と同じ有害成分が多く含まれ、ニコチンも同じ依存性の物質だと説明しています。
甘味料と香料については、煙に含まれる有害物質にさらされる危険を高めるおそれがある、とCDCは書いています。炭から出る一酸化炭素は、一酸化炭素の項にあります。
マアッスルとは何ですか?
シーシャのボウルに詰める、水たばこ用の刻みたばこです。糖蜜やグリセリンを加えて湿らせ、香料で味をつけたものが一般的です。
マアッスルは、何語で、どんな意味ですか?
アラビア語で、「蜂蜜入りの」という意味です。英語では mu'assel、maassel などと書きます。日本語版Wikipediaは「ムアッサル」と書いています。
フレーバーなしのたばこもマアッスルですか?
Kassem らの総説では、香料なしで甘みだけをつけたたばこも、マアッスルに含めています。香料も加えたものは、フレーバーつきマアッスルです。甘みのない無香料の葉は、トンバクやアジャミと呼ばれます。
マアッスルの中身は、たばこがどれくらいですか?
たばこ約3分の1です。残りは蜂蜜や糖蜜、グリセリン、香料などです(WHO、Shihadeh らの論文)。
関連語は登録されていません。
- Wikipedia「Muʽassel」
- WHO FCTC知識ハブ「Waterpipe tobacco smoking」概要ページ
- Maziak ら「The global epidemiology of waterpipe smoking」(Tobacco Control, 2015)
- Shihadeh ら「Toxicant content, physical properties and biological activity of waterpipe tobacco smoke and its tobacco-free alternatives」(Tobacco Control, 2015)
- Kassem ら「Toxicity of waterpipe tobacco smoking: the role of flavors, sweeteners, humectants, and charcoal」(Toxicological Sciences, 2024)
- Chaouachi「Hookah (Shisha, Narghile) Smoking and Environmental Tobacco Smoke (ETS)」(IJERPH, 2009)
- 米国FDA「Hookah Tobacco (Shisha or Waterpipe Tobacco)」
- 米国CDC「Hookahs」
- Wiktionary「maassel」
- Wikipedia日本語版「水タバコ」
- Hookah.com「The History of Hookah」