20歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。シーシャは適度に楽しみましょう。
標本カード
植物性グリセリン(VG)のボトル。無色透明で粘性のある液体
ライセンス: CC BY-SA 4.0出典: Jamesvilliam / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

グリセリン

ぐりせりんGlycerin (VG)

フレーバーシーシャ本館標本番号: glycerin
定義

グリセリン(グリセロール)は、無色透明でとろりとした液体です。水とよくなじみ、空気中の水分を引き寄せます。水たばこのフレーバーには、しっとり感を保つ保湿剤として配合されます。加熱すると気化して煙の主役にもなるため、煙の量や口あたりを左右する成分です。

先に結論から
そもそも、どんな言葉?

グリセリンとグリセロールは、同じ物質の呼び名です。化学の名前は、1,2,3-プロパントリオールといいます。分子の中に水酸基(-OH)を3つ持つので、「三価アルコール」の仲間です。お酒に入っているエタノールとは別の物質です。

グリセリンは、甘みのあるアルコール類の仲間で、「糖アルコール」とも呼ばれます。水分を引き寄せて逃がしにくい性質があるため、乾燥を防ぐ「保湿剤(ヒューメクタント)」として使われます。

VGは、英語圏で「Vegetable Glycerin」(植物性グリセリン)を略した呼び方です。シーシャでは、フレーバーの成分表示などで見かけます。

どんな物質なの?

公的なデータベースのPubChemでは、グリセリンは無色で粘りのある液体と整理されています。水とどんな割合でも混ざり、空気中の水分を吸い寄せる「吸湿性」があります。融点は約18℃、沸点は約290℃です。この沸点は、分解を伴うものと記されています。

引火点は、火が近づくと燃え出す温度のことです。グリセリンは約177℃(開放式)とされています。ふつうの室温では、燃えにくい液体です。

もともとは油脂の成分で、体の中にも存在する物質です。EFSA(欧州食品安全機関)の評価書によれば、工業的には主に油脂を高圧で分解して作られます。プロペン(石油化学の原料)から合成する方法もあります。

ワインやはちみつなどの食品にも、自然に含まれるものです。EFSAは、自然な摂取源として挙げています。体内では、主に肝臓で代謝されて、エネルギー源になります。

フレーバーの中で何をしている?

水たばこ用のたばこ葉には、グリセリンが加えられています。Almomenらの論文(2023年)は、導入部で、グリセリン・香料・甘味料を合わせると水たばこ混合物の約70%になると書いています。この数字は、Al-Kazwiniらの2015年の論文を引いたもので、Almomenらが調べた結果ではありません。グリセリンだけの割合ではなく、製品によっても違います。

グリセリンの役割は、大きく3つあります。

関連する項目

関連する項目は、蒸らし、焦げ、熱伝導率です。炭と熱管理は、炭と熱管理の記事にまとめています。

食品に使えるなら、吸っても安全?

グリセリンは、食品添加物としては評価が確立しています。EFSAは2017年の再評価で、食品に使われる量では安全上の懸念はないと結論づけました。1日の摂取許容量を数値で決める必要もない、という結論です。国際的な専門家会議(JECFA)も、1976年に「数値で定める必要なし」としています。

ただし、これは「食べる」場合の評価です。EFSAの評価の範囲は、食品添加物としての使用でした。加熱して吸い込む使い方の安全性を保証するものではありません。

グリセリンは、高温に熱すると分解します。アクロレインなどのカルボニル化合物(アルデヒドの仲間)が生じることが、電子たばこ用の液体を使った実験で報告されています。

Wangら(2017)は、ステンレス製の管に空気を流しながら、最高318℃まで加熱する装置を使いました。アクロレインは、グリセリンを含む液体でのみ、約270℃を超えたところで検出されたと報告しています。この270℃は、実験装置の温度です。シーシャのボウル内の温度とは、直接比べられません。

水たばこについても、実験があります。Almomenら(2023)は、グリセリンの割合を10〜60%に変えた混合物などを調べました。喫煙機を使い、一定の条件(35回の吸引を5サイクル)で吸引しています。

自作の混合物では、どの割合でも、アクロレインの発生がグリセリンの添加と関連していました。市販品では、グリセリン10〜20%で関連が見られました。ただ、20%から60%への増加に応じた増加は、見られませんでした。著者らは、増え方は製品によって異なり、上限を決めるにはさらなる研究が必要だとしています。

アクロレインについて、厚生労働省の職場のあんぜんサイトは、吸入による急性毒性が最も高い区分(区分1)に分類しています。これは物質そのものの分類です。シーシャの煙に含まれる量での影響を示すものではありません。

ここまでは、実験室での結果です。実際の吸い方や、炭・器具の違いでどうなるかは、条件によって変わります。「グリセリン=危険」とも、「食品に使えるから安心」とも、言い切れません。確かなのは、加熱して吸うことを前提にした安全性の評価は、食品の評価とは別物だということです。

よくある思い込み
よくある質問

シーシャのグリセリンとは何ですか?

フレーバーのたばこ葉に加えられる、無色でとろりとした液体です。水分を保って葉の乾燥を防ぎ、加熱されると気化して煙のもとになります。グリセロールとも呼ばれます。

シーシャの煙はグリセリンですか?

主な煙のもとは、加熱で気化したグリセリンだとCLOUDは説明しています。ただ、煙にはたばこ葉やほかの成分に由来する物質も含まれます。

食品に使われるグリセリンなら、吸っても安全ですか?

EFSAの2017年の再評価など、食品添加物としての評価は、食べる場合のものです。加熱して吸い込む場合の安全性を保証するものではありません。高温で分解してアクロレインなどが生じることも、実験で報告されています。

植物性グリセリンと書かれていれば体にいいですか?

示すのは原料が植物油脂であることまでで、健康への影響は別の話です。

ノンニコチンなら、煙も安全ですか?

言えません。ニコチンがないことと、煙の成分は別の話です。くわしくはタールの項に書いてあります。グリセリンの分解物の問題も、ニコチンの有無とは関係ありません。

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