火災予防条例
かさいよぼうじょうれいFire Prevention Ordinance
火災予防条例は、火を使う設備の置き方や届出、喫煙・裸火の制限などを決めたルールです。消防法の委任を受けて、市町村(東京は東京都)が定めます。国の基準がもとですが、内容は自治体ごとに違います。炭を使う飲食店が従うのは、営業する地域の条例です。
火災予防条例は、炭火など「火を使う設備」の置き方・届出・使い方を、自治体が決めたルールです。国の法律がもとですが、細かい数字と手続きは地域で違います。だから、営業する地域の条例が基準になります。
- 地域でどう違う? → 「自治体ごとに、どう違う?」の節(消火器の例)
- 炭を使う店で問われること → 設備の置き方、消防署への届出、喫煙・裸火の制限(東京都の条例を例に説明しています)
- まず何をする? → 物件を決める前に、営業する地域の消防署(東京都なら各消防署の予防課)へ相談します
炭火焼き器の離隔距離(壁との距離)の見直しや、消火器・防火管理者は、「くわしく知りたい人向け」の後ろで説明します。
消防法は、国の法律です。火災を防ぎ、被害を減らすための大枠を決めています。
消防法施行令と総務省令は、その法律を具体的にする国のルールです。火を使う設備について、各自治体が条例に盛り込むべき基準を示す総務省令もあります(設備と壁の距離など)。
火災予防条例は、消防法の委任を受けて、市町村が条例として定めるルールです。火を使う設備の置き方、届出、喫煙や裸火の制限などが書かれています。
東京消防庁と消防署は、東京都の条例を運用し、届出を受け付ける窓口です。ほかの地域では、その地域の消防本部・消防署が窓口になります。
消防法の第9条は、かまどや風呂場のほか「火を使用する設備」の位置・構造・管理について定めています。こんろなど火を使う器具の取扱いも同じです。これらは、政令で定める基準に従って市町村条例で定めることになっています(消防法)。
消防法施行令の第5条は、その条例が守るべき基準を挙げています。設備と壁・可燃物のあいだに空ける距離、不燃性の床の上に置くこと、点検・整備を行うことなどです(消防法施行令)。
つまり、全国共通の基本は国が決めます。細かい数字や手続きは、自治体の条例が決めます。二段構えです。東京都の火災予防条例は、特別区の区域と、消防事務を東京都に委託した市町村の区域に適用されます(東京都火災予防条例第1条)。ほかの地域には、それぞれの市町村や消防本部の条例があります。
もとが同じでも、上乗せや細目は地域で変わります。飲食店の消火器で見てみましょう。
国の基準(消防法施行令第10条)では、火を使う設備や器具のある飲食店は、広さを問わず消火器が必要です。火を使う設備や器具のない飲食店は、延べ面積150平方メートル以上が対象です。
鹿児島市は、これに上乗せしています。国の基準では設置の義務がない飲食店にも、延べ面積50平方メートル以上なら消火器を置くよう、条例で求めています(鹿児島市の案内)。自治体が国の基準に上乗せをしている、分かりやすい例です。条文の番号や届出様式も、自治体ごとに異なります。
国の基準が見直されると、自治体が条例を改めて追いつく流れもあります。後ろで説明する炭火焼き器の改正では、東京都も横浜市も令和6年(2024年)1月1日に施行しました。ほかの地域がいつ施行したかは、その地域の条例で確かめる必要があります。
以下は東京都の条例を例にしています。ほかの地域は同じとは限りません。 火を使う飲食店では、設備、届出、喫煙・裸火の3つが問われます。
- 設備の置き方は第3条です。炉の設置については、壁や可燃物からの距離、可燃物が落ちたり触れたりしない位置、十分な換気ができる位置などが定められています。木材や石炭などの固体燃料を使う炉は、火の粉が飛ばない構造にします。灰を入れる容器も、ふたのある不燃性のものにするよう求めています。灰の扱いまで条例が見ている点は、炭を使う現場に近い規定です。
- 届出の決まりは第57条にあります。固体燃料を使う炉など一定の火気使用設備を設置する人(内容を変える人も)に、工事に着手する7日前までに消防署長へ届け出ることを求めています。これとは別に、建物を新たに使い始めるときは、使用を始める7日前までに、管轄の消防署へ「防火対象物使用開始届出書」を出します。工事を伴わない用途変更でも必要です(東京消防庁)。「許可」ではなく「届出」ですが、設置後は、使用を始める前に消防署長の検査を受けます。
- 喫煙と裸火については、第23条が禁止を定めています。消防総監が指定する場所では、喫煙、裸火の使用、危険な物品の持込みができません。東京消防庁は、指定場所の例に飲食店を挙げ、裸火には木炭などの固体燃料も含まれると説明しています(東京消防庁)。条文上は、消防署長が基準に適合すると認めた場合の例外があります。飲食店で従業員の監視のもとに料理用の固形燃料を使うことは、持込みの除外に含まれています。指定される範囲や承認の要否は場所によって違うため、所轄の消防署に確認する事項です。
- 「どこでも同じルール」ではありません。数字や手続きは地域で違います。東京の情報を、そのまま他県に当てはめることはできません。
- 受動喫煙の条例とは別のものです。火災予防条例は「火事を防ぐ」ためのルールです。煙を吸わされることを防ぐ東京都受動喫煙防止条例や、改正健康増進法とは目的が違います。両方を満たす必要があります。
- 飲食店営業許可とは別の手続きです。保健所の許可は食品衛生の話で、消防への届出は火災予防の話です。片方を済ませても、もう片方の代わりにはなりません。
ここまで読めば、基本は足ります。 以下は、条文の番号・金額・経緯・根拠などです。
炭火の設備と壁のあいだに空ける距離を「離隔距離」といいます。国の基準では、これまで炭火焼き器にも、上方250cm、前方300cm、側方・後方200cmという大きな距離が求められていて、設置の妨げになっていました。
消防庁は検証実験を行い、令和5年(2023年)3月に報告書を公表しました。炭火焼き器の離隔距離を見直す方針を示しています(消防庁の報道発表)。
国の基準を定める総務省令は、令和5年(2023年)5月31日に公布されました。令和5年総務省令第48号です。令和6年(2024年)1月1日から、炭火焼き器の離隔距離が定められています。改正履歴と別表第一で確認できます(e-Gov法令検索)。
東京都の条例も、これに合わせて別表第三に、木炭を燃料とする炭火焼き器の距離を加えました。東京都火災予防条例(令和6年1月1日施行)の数字は、こうなっています。国の基準も同じ数字です。
- 壁などを不燃材料で有効に仕上げていない場合は、上方100cm、側方・前方・後方は各50cmです。
- 壁などを不燃材料で有効に仕上げた場合は、上方80cm、側方30cm、後方30cmです。前方の数値は定められていません。
東京都の条例で「特定不燃」になるのは、コンクリート、れんが、鉄鋼、モルタル、しっくいなどで有効に仕上げた場合です(条例第3条)。国の報告書は、石こうボードなどによる仕上げを例に挙げています。これは焼き物用の炭火焼き器の数字です。シーシャの炭がどの区分で扱われるかは、設備の形や使い方を見て所轄の消防署が確認する事項です。
消防法施行令の第10条は、飲食店が「火を使用する設備又は器具」を設けていれば、広さを問わず消火器具の設置を求めています。これは条例ではなく国の基準です。防火上有効な措置として総務省令で定める措置が講じられた場合は、対象から外れます。
また、収容人員が30人以上の飲食店には、防火管理者を定める義務があります(消防法第8条、施行令第1条の2)。収容人員とは、働く人も含めて出入りする人の数です。
火災予防条例と消防法は何が違いますか?
消防法は全国共通の法律です。火災予防条例は、その委任を受けて市町村が定める条例です。火を使う設備の置き方や届出などの細かい点は、条例が決めています。
条例の内容は、自治体でどのくらい違いますか?
国の基準がもとなので大筋は似ていますが、上乗せや様式は違います。たとえば飲食店の消火器です。国の基準では、火を使わない飲食店は延べ面積150平方メートル以上が対象です。鹿児島市は、延べ面積50平方メートル以上で設置するよう条例で定めています。営業する地域の条例を、その地域の消防署で確認してください。
炭を使う店は、消防署への届出が必要ですか?
東京都の条例では、固体燃料を使う炉などを設置するとき、工事着手の7日前までに消防署長への届出が必要です。建物を使い始めるときの使用開始届も、使用開始の7日前までに必要です。個々の設備が対象かどうかは、所轄の消防署に確認してください。
炭火焼き器の離隔距離は、いつ変わったのですか?
国が令和5年3月に報告書を公表しました。総務省令の改正(令和5年5月31日公布)で、令和6年1月1日から炭火焼き器の離隔距離が定められています。東京都と横浜市も同日に条例を施行しました。東京都の数字は、不燃材料で仕上げていない壁なら上方100cm・側方前方後方各50cm、仕上げた壁なら上方80cm・側方30cm・後方30cmです。
火災予防条例と東京都受動喫煙防止条例は同じものですか?
別のものです。火災予防条例は火事を防ぐためのルールで、受動喫煙防止条例が防ぐのは、他人の煙を吸わされる被害です。目的も窓口も違います。
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