3行要約

  • ケニア高等裁判所が7月28日、2017年末以来続くシーシャ禁止規則の執行を「違法・違憲」と判断しました。規則自体が2018年に手続き不備で失効していたことが決め手です。
  • 米国ではヘンプ由来THC規制の攻防が激化。上院は11月12日期限の一部禁止を12月11日まで延期する条項を歳出法案に盛り込んだ一方、テキサス・バージニア両州では事業者が州を提訴し、FAAはパイロット向け大麻基準の見直しに着手、下院にはTHC飲料への色分け表示義務化法案も提出されました。
  • 葉巻業界ではCasa Carrilloが慈善企画と限定新作2品を、Diesel CigarsとCigar Dojo×Aganorsa Leafが新定番・限定コラボを発表。本館フレーバーでは露OVERDOSEが無香料ライン「No Aroma」を、国内加熱式ではセンティアが新カプセル銘柄を投入しました。

今週の動き

ケニアでは、2017年末施行の公衆衛生規則「Public Health (Control of Shisha Smoking) Rules, 2017」に基づくシーシャの輸入・製造・販売・使用・広告の包括禁止が9年近く続いてきましたが、ケニア高等裁判所は7月28日、この禁止の執行を違法・違憲と判断しました。バハティ・ムワムエ判事は、この規則をめぐる先行訴訟で政府に与えられた是正猶予9カ月の期限(2018年7月26日)を過ぎても是正されず、規則はすでに法的効力を失っていたと指摘。原告Novel Tobacco Products Associationが争った結果、2025年2月の保健当局声明と同年4月14日のナイロビでの取り締まり通達もいずれも違法と宣言され、失効した規則に基づく継続的な執行がケニア憲法第27条・40条・47条・50条2項(n)号の権利を侵害していたと判断されました。ただし現地メディアは、政府が新たな規則を制定すれば禁止が再導入される余地は残ると伝えており、攻防が完全に決着したわけではなさそうです。

米国ではヘンプ由来THC規制をめぐる攻防が一段と激しくなりました。上院歳出委員会は8月2日、政府機関の資金を12月11日まで延長する継続歳出法案「Continuing Appropriations and Extensions Act 2027」を公表し、11月12日に予定されていた容器あたり総THC0.4mg上限や、規制基準をデルタ9THCから総THC(THCAを含む)へ広げる新定義の適用を、12月11日まで延期する条項を盛り込みました。ただし大麻植物では自然に生成され得ない合成カンナビノイドは延期の対象外で、これまで通り11月12日から違法となる見通しです。業界団体U.S. Hemp RoundtableのJonathan Miller法務顧問はこれを「2018年農業法によるヘンプ合法化以来、最大の勝利になる」と評価していますが、下院の継続決議には延期条項が含まれておらず、両院協議が今後の焦点です。一方、既に規制が発効・目前に迫った州では事業者の反発が司法の場に持ち込まれました。テキサス州では7月31日発効のデルタ8・デルタ10・THCAフラワー等をスケジュールI規制物質に分類する規則に対し、小売2社・流通1社が8月1日、州保健当局(DSHS)や州司法長官ケン・パクストン氏らを相手取りテキサス州南部地区連邦地裁に提訴。バージニア州でも、8月15日発効予定の1パッケージ総THC2mg上限に対し、District Hemp Botanicalsなど7社が7月31日、スパンバーガー州知事や州司法長官ジェイ・ジョーンズ氏らを相手取りバージニア州西部地区連邦地裁に提訴しました。両州とも、同一の化学物質を恣意的に区別し州際通商や適正手続きに違憲な負担を課しているとの主張が核心です。こうした見直しの波は周辺分野にも及んでいます。米FAAは、2026年4月に司法長官代理トッド・ブランシュ氏の命令で州の医療大麻ライセンス対象製品がスケジュールIからIIIへ移行したことを受け、パイロットと航空管制官向けの大麻に関する職務適性基準の見直しに着手しました。新基準の策定・実装には12〜18か月を見込むとしており、現行の薬物検査・医療認定基準は当面変わりません。また下院では、ニック・ラロータ議員(共和党・ニューヨーク州選出)がTHCやアルコール、クラトム関連化合物を含む飲料に色分け表示を義務付ける「Safe Sips Act of 2026」(H.R.9913)を提出しました。規則策定は成立後2年以内、適用開始は成立から4年後を予定しています。

葉巻業界では新製品・企画のニュースが相次ぎました。Casa Carrillo(E.P. Carrillo系)は、限定シガー「La Historia Silk」最新出荷分の売上の一部を、失業女性の再就職支援NPO「Dress for Success Miami」へ寄付すると発表。慈善プログラム「Carrillo Cares」の一環で、共同経営者Lissette Perez-Carrillo氏の15歳の姪の発案がきっかけだったといいます。Silkはトロ1サイズ・希望小売価格16.50ドルで、今年の生産数は約2,500箱です。同社はさらに、限定シリーズ「Encore」の新作2品も投入しました。「Encore Noir II」はラッパー・バインダー・フィラーすべてニカラグア産のオールニカラグアブレンドで1,500箱限定、「Encore Edición Única II」は5年以上熟成させたニカラグア産葉のみで構成するピュロで1,100箱限定です。このほか、Diesel CigarsはAJ Fernandez製造による新定番ブレンド「Diesel Uncaged」を8月1日から出荷開始。Habano Criolloラッパーにニカラグア産バインダー・フィラーを組み合わせ、ロブスト・トロ・ヒガンテの3サイズで展開します。米シガーメディアCigar DojoとAganorsa Leafのコラボ企画「Crispy Boy」も発売され、エクアドル産ハバーノラッパーとニカラグア産の葉を使ったトロサイズ単一規格で、生産数は2,400本、6本入りバンドル70ドル、オンライン販売分はわずか200バンドルという狭き門でした。

本館フレーバーでは、ロシアのOVERDOSEが無香料ライン「No Aroma」を発表しました。香料を一切加えず、イタリア産バーレーの「Toscana」とアメリカ産バーレーの「Carolina」の2ポジションを同時展開し、産地の葉そのもの(テロワールと加工方法)で個性を表現するコンセプトです。日本国内での取り扱いや発売時期は現時点で確認できていません。

国内の加熱式たばこでは、フィリップ モリス ジャパンがIQOS ILUMA専用「センティア」の新銘柄「センティア パッション フルーツ カプセル」を8月3日より順次発売しました。価格は1箱20本入りで570円。パッションフルーツの香りのカプセルとメンソールを組み合わせた銘柄で、センティアのカプセル入りメンソール銘柄としては「パープル カプセル」(ブルーベリー)に続く2品目にあたり、今回の追加でセンティアの全ラインナップは20銘柄になりました。

編集部の所感

今週はケニアの司法判断と米国のヘンプ規制という、対極的な「規制の揺れ」が並んだ週でした。ケニアでは禁止規則そのものの手続き不備が突かれて解除に至った一方、米国では延期と提訴が入り乱れ、規制の落としどころがまだ定まっていません。FAAの職務適性基準見直しやSafe Sips Actのように、大麻・ヘンプ関連の議論が航空業界や飲料表示といった周辺分野へも広がりつつある点は、今後の展開を占ううえで見逃せないところです。葉巻業界の新作・企画ラッシュや、本館フレーバーで香料を引き算する「No Aroma」のような新機軸も並び、プロダクト面では例年通りの厚みを感じさせる一週間でした。