3行要約

  • 米国では決済大手Squareが加盟店へCBD・ヘンプ製品の販売停止を通知し、テキサス州THC禁止の緊急差し止めが却下され、DEAはHHC規制訴訟で原告適格を否定するなど、11月12日のヘンプ再定義発効を前に規制と司法の攻防が続きました。ノースカロライナ州最高裁は大麻臭を含む総合考慮を捜索の相当な理由と認めた判断を維持し、大麻研究では合法化州の農業雇用9%増、英国の子宮内膜症患者の医療大麻2年追跡データも報告されています。
  • EU統計局(Eurostat)は8月5日、2025年のEU域内16歳以上の毎日喫煙・使用率が16.5%(2022年17.5%から低下)だったと発表しました。電子タバコやニコチンパウチも含む集計で、ブルガリアが26.3%で最高、オランダが9.9%で最低でした。
  • 本館フレーバーではロシアのSEBEROとNAШが同じ週にそろって「グミベア」系新作を投入し、DARKSIDEはエクストリームスポーツをテーマにしたXPERIENCE新作3種と原料刷新を発表、MUSTHAVEは夏ドロップ最終弾を投入しました。葉巻業界ではDavidoffが旗艦店限定ラインと旅行者向け6本缶の2製品を発表したほか、Diamond Crown MAXIMUSの刷新版とNestor Miranda復刻ランセロの出荷も始まっています。

今週の動き

米国の大麻・ヘンプ規制をめぐっては、11月12日に迫るヘンプ再定義の発効を前に、規制・決済・司法それぞれの現場で攻防が続きました。決済大手Squareは加盟店に対し、「CBDおよびヘンプ由来製品の販売――オンラインでも対面でも――はSquareのプラットフォーム上で今後認められなくなる」とのメールを送付し、2026年10月15日までにカタログから該当製品を削除するよう求めました。背景にあるのは、これまでの2018年農業法(乾燥重量比でdelta-9 THC0.3%未満)に代わり、11月12日から「容器あたり総THC0.4mg以下」という基準が施行される見通しであることです。上院がこの禁止を12月11日まで延期する条項を可決した後もSquareの通知は撤回されておらず、議会での延期審議と決済インフラ側の実務対応の間にタイムラグが生じている格好です。テキサス州では、7月31日発効のデルタ8・デルタ10・THCP・THCAフラワー等の規制物質分類に対し小売2社・流通1社が起こした訴訟で、連邦判事ジェフリー・ブラウン氏が8月9日、緊急の差し止め命令(TRO)申立を却下しました。原告側が禁止による「回復不可能な損害」を十分に立証できなかったことが理由で、禁止は当面維持されたまま、より本格的な予備的差止命令の審理が続きます。DEAは、HHC(ヘキサヒドロカンナビノール)を連邦スケジュールI規制物質と明記した2026年5月規則を争う訴訟に応答書面を提出し、原告のBluestar Operations(第4巡回区控訴裁)に原告適格がないと主張しました。規則を「技術的なもの」で新たな義務を課さないとする一方、原告側は2018年農業法下でヘンプに該当するHHCの扱いを狭める権限がDEAにはないと反論しており、IHC Investmentsが提訴した第9巡回区控訴裁の判断も含め、合成カンナビノイド規制の先例になり得る訴訟です。司法の分野ではノースカロライナ州最高裁が8月14日、State v. Schiene事件の裁量上告を「受理すべきでなかった」として全員一致で審理を打ち切り、大麻の臭いを含む諸事情の総合考慮が令状なし車両捜索の相当な理由になるとした2024年州控訴裁判断を維持しました。5月22日のDobson・Rowdy両判決に続く3件目で、合法ヘンプと違法マリファナの臭いが事実上区別できない中でも、臭いを捜索の一要素にできるという州最高裁の立場が固まった形です。研究面では、テキサス工科大学の研究者が米労働統計局のデータを合成差分の差分法で分析した結果、嗜好用大麻を合法化した州で農業部門の雇用が約9%有意に増加した一方、農業部門の賃金や全産業の雇用・賃金には統計的に有意な影響が見られませんでした。米大麻産業の直接雇用は2026年初め時点で約41万2,500人とされています。英国では、UK Medical Cannabis Registryのデータを用いた観察研究で、子宮内膜症の女性101人が医療大麻を使用したところ、24カ月間にわたり疼痛スコア(Brief Pain Inventory重症度で5.8から3.9へ)やQOL、睡眠、不安の改善が持続し、オピオイド使用量も1日経口モルヒネ換算19.9mgから14.8mgへ低下したことが報告されました。有害事象は101人中18人(17.8%)にとどまりましたが、対照群のない観察研究のため因果関係の証明には至っていません。

欧州のたばこ統計では、EU統計局(Eurostat)が8月5日、2025年時点でEU加盟国の16歳以上人口の16.5%が「たばこまたは関連製品」を毎日使用していると発表しました。2022年の17.5%から1ポイント低下しており、電子タバコ、ニコチンパウチ、加熱式たばこ製品まで含めた合算値です。性別では男性20.8%・女性12.6%と男性が女性の約1.6倍で、年齢別では35-49歳が21.3%で最も高く、16-24歳は12.1%、65歳以上は9.1%にとどまりました。国別ではブルガリアが26.3%で最高、スウェーデンが23.9%、クロアチアが23.6%と続く一方、オランダが9.9%で最低、アイルランド11.7%、ベルギー13.6%、ルクセンブルク13.8%が続きます。喫煙率自体は欧州でも低い部類とされてきたスウェーデンが2位に入っている点は、スヌース文化を背景にニコチンパウチが集計に含まれている影響とみられます。

本館シーシャのフレーバー動向では、ロシア市場で「グミベア」系フレーバーが同時多発しました。SEBEROは定番ライン「Классик」に新作アロマ3種を投入し、業界メディアWaterpipe.proはその目玉として「Мармеладные Мишки(マルメラードのグミベア)」を報じています。同じ週にはNAШも「NAШ WHITE」ラインに「グミベア(白)」と「フルーツ」の新作2種を追加し、40g・100g・200gの3サイズで展開すると発表しました。SEBERO自身は公式Telegramで、グミ系の香りが人気を集める理由として、子どもの頃から親しみのある甘さ・フルーツノート・軽い酸味の分かりやすさと、ミックスを組み立てる際の「万能パーツ」としての汎用性の高さを挙げています。DARKSIDEは公式Telegramでサブブランド「XPERIENCE by DARKSIDE」の新作3種「LIMONCHAMPION」(リモンチェッロの香り)、「RONDO RIDE」(スイカのドラジェの香り、後味はミントへ)、「MOTO MORS」(イチゴ・クランベリー・スグリのベリーモルスの香り)を発表しました。スケートボード・BMX・モトクロスをテーマにしたドロップで、あわせてXPERIENCE by DARKSIDEが新しい原料(葉)での製造に切り替わったことを案内し、加熱時間を従来より2〜3分長くとる焚き方の推奨も更新しています。MUSTHAVEは、梨・レモン・タルフンを合わせた新フレーバーを発表し、25g・125g・250gの3種の内容量で展開する夏ドロップシリーズの最終弾と位置づけました。公式投稿はこの香りから旧ソ連圏で親しまれた清涼飲料「デュシェス」や「タルフン」などを連想すると紹介しており、業界系Telegramチャンネル「Кальян для Россиян」は「分かりやすい定番」の再来と評しつつ、もっと型破りな新作を期待する声も投げかけています。

葉巻業界では新製品発表が相次ぎました。Davidoffは、ジュネーブ・香港・ニューヨーク(マディソンアベニュー)の旗艦店3店専売の新常設ライン「Boutique Selection」を発表しました。サイズはいずれもトロ(リングゲージ54×6インチ)で統一されている一方、ジュネーブ・香港向けはエクアドル産ラッパーにドミニカ共和国産バインダーとドミニカ共和国4テロワールのフィラー(強度はジュネーブ4/5・香港3/5)、ニューヨーク向けはドミニカ共和国産ラッパーにエクアドル産バインダーとドミニカ共和国3テロワールのフィラー(強度4/5)と、店舗ごとに産地構成を変えています。9月1日出荷開始で10本入りの木箱、価格は未公表です。あわせてDavidoffは旅行者向けの新作「Primeros by Davidoff Voyager’s Selection」も発表しました。ハンドメイドのプチ・パネテラ(長さ10.5cm、リングゲージ34、喫煙時間約15〜25分)6本を収め、Primeros by Davidoff Dominican、Dominican Maduro、Nicaraguaの3ラインを各2本ずつ組み合わせたコレクションで、2026年9月3日からグローバル・トラベル・リテール(空港などの旅行者向け流通)限定で発売されます。価格は公表されていません。米J.C. Newman Cigar Co.は、2002年発売の看板ライン「Diamond Crown MAXIMUS」の刷新版の出荷を8月に開始しました。発売時から使われてきた青いボックスデザインを柱(コラム)をモチーフにした新パッケージへ一新し、ラッパーは引き続きエクアドル産El Bajo Sungrown(John Oliva Sr.氏栽培)を採用しつつブレンドも見直し、20本入り箱・価格据え置きで展開しています。Miami Cigar & Companyは、2026年3月のPCAトレードショーで復活が発表された数量限定シガー「Nestor Miranda Private Reserve Lancero」の全米小売店への出荷を開始しました。サイズ6 3/4×40、ラッパーにドミニカ産コロホ、バインダーにニカラグア産クリオロ、フィラーにドミニカ・ニカラグア・ブラジル産の葉を使用し、1箱10本入り180.00ドル、生産数500箱限定という発表内容です。

編集部の所感

今週は米国のヘンプ・大麻をめぐる規制と司法の攻防が引き続き主役でした。Squareの販売停止通知、テキサスTROの却下、DEAのHHC訴訟対応、ノースカロライナ州最高裁の臭気捜索判断が同じ週に重なり、11月12日のヘンプ再定義発効に向けて現場の緊張が高まっていることがうかがえます。その一方で、農業雇用9%増の研究や英国の子宮内膜症2年追跡データのように、大麻の経済的・医療的な側面を定量的に示すデータも並びました。EUのたばこ統計は電子タバコやニコチンパウチを含めた集計方法自体が国別順位に影響を与えている点が興味深く、数字の読み方には注意が必要だと感じます。本館フレーバーでは複数ブランドが同時に「グミベア」へ手を伸ばす様子が、単発のヒットではなくカテゴリーとして定着しつつある兆しに見えました。葉巻業界はDavidoffの2製品を筆頭に、旗艦店限定・トラベル専用・定番刷新・復刻限定と、切り口の異なる新作が一度に出そろった週でもありました。